こんにちは。
ありがとうで送るお葬式®
家族葬のウィズハウス新宮・ベルホール中本・ザ・スランバーズガーデン・そうそうの郷太地を運営しております中本葬祭の財賀です。
昔から「妊婦は火葬場に行ってはいけない」というお話を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。地方によって様々な風習があるお葬式の世界で、このように全国の多くの場所で同じように言われているようです。地方によっては「お腹に鏡を入れておけば大丈夫」といった考え方なども存在するようです。
では、なぜ「妊婦は火葬場に行ってはいけない(行くべきではない)」と言われているのでしょうか。
時として「あの子は孫なのに火葬場に行かずに失礼ね」ですとか「あの子は妊婦なのに火葬場に行って失礼ね」といったお話を耳にすることはあれど、なぜなのかという事についてはご存知ではなく、言い伝えだけが独り歩きしているケースも決して少なくはないように感じました。
そこで今回は「妊婦は火葬場に行ってはいけないの?」といったお話についてご紹介させて頂きます。
また、前述の通り、こうした言い伝えにつきましては、ある地方ではこうだけど、またある地方では全く違う解釈や理由になっている場合も多々あります。
あくまで私自身がそのような言い伝えの理由を調べた結果「最も有力ではないか」と思われるもののご紹介といった形を取らせていただいておりますので、あくまで情報の一つとして捉えて頂ければ幸いです。
妊婦は火葬場に行ってはいけない理由とは?
なぜ妊婦の方は火葬場に行ってはいけないとされているのか?これは、現在の火葬場をイメージされると全く理解できないところかと思います。
昔の火葬場は、三昧場(ざんまいば)と言いまして、この言葉の意味は本来なら僧侶が中にこもって死者の死を悼むため、墓の近くに設ける堂。という意味なのですが、これが転じて火葬場や墓所を意味するようになったとされています。それは現在のように整備された火葬場ではなく、妊婦の方のみならず非常にショッキングな場を目にする場所だったようです。ガンジス川のほとりで荼毘に付されるような形で、その姿がそのまま見えているといったものでして、「このようなショッキングなものを、大切な子孫を宿した人に見せるのは本人はもとよりお腹の子にとっても良くない」といった考え方がそもそもとしてあったようです。地方によっては「悪い霊がお腹の子供に入るから」ですとか「妊婦がお葬式に出ると赤ちゃんにあざができる」などと行った話もあるようです。
また、そもそもドライアイスで御遺体の腐敗進行を遅らせる事が現在のように一般化したのは戦後の事で、それ以前は火葬も現在のように一般化しておらず土葬の形が多い時代でした。
昔の人は経験則で目に見えない細菌ですとか感染症が様々な疫病の源になっていると理解していましたので、時間の経過とともに腐敗が進行していく御遺体から妊婦の方を遠ざけることで、母子ともに周りの人が守ってあげようという気遣いからという説もあり、どうやらこちらの説がこの言い伝えの始まりとして最も有力ではないかと思われます。
このように、ただ行ってはいけない(行くべきではない)という訳ではなく、先人の知恵や母体やお腹の子供への気遣いが形になったものが大元となっていまして、現在ではある側面ではマナーのような言われになっている部分もあるようですが、それこそが間違いと言えるでしょう。
妊婦の方でも体調が悪くなければお葬式に参加して問題ありません
妊娠中にお葬式があった場合、体調が悪くなければ参加すること自体は問題ありません。
妊娠中でも大切な方やお世話になった方との最期のお別れは心情的にもやはりしたいものですよね。
でもつわりが辛い時期や体調が優れない時は注意が必要です。
お葬式は座ったり立ったりが多く、かと思えば座りっぱなし立ちっぱなしの場面があったりと身重の方には負担も多いものです。
また、ご近所や親族として参加する場合、葬儀のお手伝いをしなくてはいけない時は、葬儀が長時間に及ぶこともあります。
そんな時に途中で具合が悪くなってしまうとかえって迷惑をかけてしまいます。
体調が悪いときは決して無理をせず、周りの方に妊娠中であることを告げて、適度に休憩を挟みながら参列したり、辛くなる前に途中で退席させてもらったりしましょう。
また、臨月に入っていていつ生まれてもおかしくないような状態の場合は無理をせず、ご自身の体調を最優先し、欠席するのも良いと思います。
前述の火葬場に行ってはいけない(行くべきではない)という話ですが、同じように古くからの言い伝えで「鏡を姿の映る面を外側にしてお腹に入れておけば火葬場に行っても問題ない」という話もあります。何をおいても第一にご自身の体調に問題がなく、その上で故人との最期のお別れをとお考えの場合には、手鏡のような小さな鏡をお腹に入れておき、参列するようにましょう。
周りの方から「妊娠中なのだから・・・」と言われた場合には、おそらくそもそものお話や鏡のお話をご存知ではない場合が多いと思われますので、今回のお話をご参考にして頂き、丁寧に説明をして頂いた上で、くれぐれもトラブルとなりませんように対応して頂ければと思います。
如何だったでしょうか。今回は「妊婦は火葬場に行ってはいけないの?」といった内容についてご紹介させていただきました。
地域や儀礼により上記の通りではなく、地域ごとの習わしがある可能性も充分に考えられますので、あくまで情報の一つとして捉えて頂ければ幸いです。
この記事の著者:(株)中本葬祭/施工部 環境整備課 係長 財賀 幸男