こんにちは。中本葬祭の山下です。
仏壇への毎日のお供え物として、お香(線香)やお灯明(ろうそく)と同じく大切なものに「仏花(ぶっか)」があります。
仏壇の両脇に1対(2つ)の花瓶を設置して、お花をお供えするのが一般的です。
小さい頃からお家に仏壇があったりご家族に詳しい方がいらっしゃれば問題ありませんが、突然仏壇を購入することになった方はどのようにお供えすれば良いか分からないという方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、仏花をお供えする意味や実際のお花の選び方についてご紹介させて頂きます。
仏壇にお供えするお花の意味について
仏壇に供えるお花を仏花と呼び、お墓参りにお供えする花も同じように仏花と言います。
もし、ご自宅に仏壇を置いていない方であっても、お墓にお供えしている仏花を一度は見たことがあるでしょう。
お盆のシーズンになれば、墓地のまわりだけでなく街の花屋さんにも菊の花を主体とした花束が店頭を彩ります。
仏教においてのお花・仏花は、お香や灯籠などと同じように故人やご先祖様の霊を供養するために重要な役割を果たすものです。また、仏花をお供えをした本人の心も穏やかにすると考えられています。
仏壇に仏花をお供えする意味は、「仏様への誓い」が主な要素です。
人々が厳しい修行に耐え忍ぶということを、厳しい自然環境にも耐え忍んで咲き誇る花の姿になぞらえて仏様に宣誓する意味を込めて、お花を仏前にお供えをするようになったと言う説があります。
線香を炊くことは供養の他に「故人や仏様に香りを楽しんでもらう」という意味合いもあるように、お供えするお花にも故人に香りを楽しんでもらうという目的もあるのです。
仏花の種類について
仏壇にお花を供えるという行為は最も基本的な供養方法であり、線香やろうそくと同様に欠かせません。
供養に使用する花の種類に厳密な決まりはないものの枯れやすいものや散りやすいものは極力避け、日持ちの良さなどの観点から選び方にはいくつかのポイントがあります。
近年は以前ほど気にはされなくなりましたが、トゲやにおいの有無に関してもある程度決まりはあるため、適した花や適さない花の種類・色について見ていきます。
仏花に適した花
この種類の花でなければならないという厳格な決まりごとはありませんが、適しているとされる条件は明確に存在しており、宗派問わず広く普及しているのが「日持ちする花」です。
仏壇や仏儀だけでなく贈り物などでも、長く飾っていられる花の方が喜ばれるのは世の常でしょう。
主な花の種類について
日持ちする花の代表的な存在といえば、お墓へのお供え物でもよく見かける「菊」です。
中でも和風・洋風問わずアレンジできるため、広い用途で用いられているピンポン菊は特に花の部分が長持ちします。丈夫なだけでなく、香りと丸い形が人気の品種です。
この他にカーネーションやスプレーマムなども長持ちする花であるため、広く使われています。
常に栽培されているため1年を通じて市場に常備されていること、水はけが良いこともよく用いられる理由です。
色に関しては、四十九日までは白い花を飾るのが古くは一般的とされていました。
忌明けまではカラフルな色を避けて、白色に留めておきましょう。
この期間が過ぎれば、色の種類はある程度自由にされても良いでしょう。
白色の他に黄色や紫、赤やピンクといった5色が基本です。
しかしながら近年では「故人の好きだった色を飾ってあげたい」などの考え方から、以前より、よりその人らしさを重視されています。
仏花に適さないお花について
一方仏花に適さない花としては、主要なところとしてはバラやヒガンバナが挙げられます。
美しいバラの特徴の1つである「トゲ」は、古くから殺生をイメージさせるために、
仏教的に良くないと考えられているからです。
ヒガンバナに関しては毒を持つ花であるという点が、用いるべきでない理由とされています。
同じくトゲがあるアザミや、テッポウユリなど一部の品種の球根に毒が含まれる百合も厳密には仏花に適していません。他にも自立できないという理由からツル状の植物や、香りが強い植物も適さないとされています。
仏花の選び方について
仏様にお供えすると考えると重く受け止めがちですが、長持ちすることと香りがきつくないこと、毒を持つ植物でないことなど条件を守れば比較的自由に選ぶことができます。
近年では故人の好きな花を飾っても良いという考え方も徐々に浸透していて、
ある程度自由に選べる風潮が広まりつつあるのが現状です。
ただし適さない花の項目で触れた条件については、避けた方が賢明でしょう。
仏教の中でのタブーもありますが、毒やトゲのあるものは小さなお子さんやペットが触れてしまう恐れがあるからです。
また、強い香りがしたり花粉が多い花に関しては、アレルギー症状が出る可能性もあります。
花びらが散りやすかったり花粉が多い花に関しては、現実的な問題として毎日の掃除が厄介という理由がある点も覚えておいて頂ければと思います。
造花
仏花は花屋さんで買ってきた生花を使うものというイメージがありますが、もちろん、本来ならば生花を飾るのがベストですが、季節によっては造花や庭で栽培しているものであっても問題はありません。
特に傷みやすい夏シーズンは、枯らさないように毎日水の入れ替えをするのも大変です。
実際は造花よりも生花の方が良いという風潮があるものの、大切なのは故人や仏様への気持ちというのが仏教の基本的な考えとなります。
そのため造花でも生花でも、供養する気持ちなどご先祖に対して心がこもってさえいれば何が何でも生花でというより、季節により使い分ける考え方でもよろしいかと思います。
プリザードフラワー
近年では造花の他に、手軽なプリザードフラワーも人気があります。
法要の日や弔問時は、普段飾っているよりも華やかにすると良いです。
花屋で仏花を依頼する場合2~3千円ほどが相場ですが、特別な日には5千円ほどの予算で作ってもらうと良いでしょう。
お正月
お正月に飾る花も、法要の日と同様に華やかに飾るのが良いとされています。大振りな花を中心に組み合わせたり、カスミソウやスターチスなどを散りばめるのも華やかな雰囲気となります。
お盆
お盆に飾る「盆花」は、海に近い地域は華やかな色で山に近い地域であれば控えめな色というのが主な傾向です。
菊が無難ですが、他にもミソハギやキキョウなどお盆の時期や秋口に咲く花が用いられます。
本日は以上です。
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この記事の著者:(株)中本葬祭/施工部 環境保全課 係長 山下 浩司