中本葬祭ブログ

棺の蓋を釘で打つ意味について

こんにちは。 ありがとうで送るお葬式®

家族葬のウィズハウス新宮・ベルホール中本・ザ・スランバーズガーデン・そうそうの郷太地

紀南地方で5式場を運営しております中本葬祭の山下です。

年配の方などは、特に記憶がおありかも知れません。お葬式の出棺の際に棺の蓋を釘で打つ儀式がありました。

現代では、ほとんど見かけることはなくなりましたが、なぜお棺の蓋を釘で留めなければならなかったのでしょうか。

今回は、こちらの「棺の蓋を釘で打つ意味」についてご紹介させていただきます。

 
 

釘打ちの儀式について

今から20年ほど位前までは、こちらの「釘打ちの儀」がありました。全国でも大抵の地域が行っていたのではないでしょうか。

具体的な流れとしては、お別れの後に葬儀社が、お棺の蓋に中ほどあたりまで釘を打ちます。

その後に、ご遺族の故人と近い方から、石で釘の頭を少しずつ打っていきます。全てのご親族までこちらの儀式が終了した後に、最後に葬儀社が釘を留めて出棺といった流れでこちらの儀式が行われていました。

釘打ちの儀式の由来について

古来の埋葬方法は土葬でした。土葬であっても現代のご遺体を寝かせた状態でお納めする「寝棺」の以前は「座棺」と言って、ちょうど胡座をかいたような状態でお納めしていました。

また、こうした時代(江戸時代など)の頃はドライアイスも勿論無く、時間の経過とともに進行していくご遺体の腐敗を遅らせる術もありませんでした。

やはり、それに伴い臭いも発生してしまいます。昔の人は、現代のように医学進歩していなかったり、情報が広く行き渡らないような時代であれど、経験則で目には見えない感染症のリスクなどを理解していました。また、昔は子供も大人も原因のわからない疫病で沢山の人が亡くなり、平均寿命も現代よりうんと低かった時代です。公衆衛生なども現代よりずっと環境は良くなかった事でしょう。ですから、目に見えない感染症や疫病などを悪霊の仕業だとしていたのは、ある意味必然と言えるのかも知れません。

そうした形で、それを裏付ける科学的根拠がなかった為、時間の経過とともに顔色などの様子が変化していくご遺体を死霊として蘇って彷徨わないように、しっかりと胡座のような姿で座らせて、出てこられないようにと上から釘で留めたのがそもそもの起源になったと思われます。土葬の際の座棺が主流の時代の頃から、現代の寝棺は存在しており、一部の貴族など位の高い人のみが使用していたものが、時代とともに広く一般に使用されるようになったのですが、土葬が主流であったのは同じですから、やはりお棺の蓋を釘で留めていたようです。昔は一旦蓋を閉めたら二度と開けませんでしたし、墓地までの運搬の際にも蓋はしっかりと閉じられている必要があったからなんですね。

釘打ちの儀式が無くなった理由について

実際に釘打ちの儀式が無くなった理由としては2点の理由があるかと思います。中本葬祭も同様の理由で、儀式としてわざわざ行う理由は無いのではないかと判断し、お客様の了解を得た上で習慣としては無くしていきました。現代では、こちらの儀式は行っておりませんが、その2つの理由についてご紹介させていただきます。

1 お棺の構造上の理由

昔のお棺は、その構造も四角い箱の上に板が一枚乗ってあるだけのような構造でした。勿論、蓋そのものも非常に簡易的な作りであったために反りやすく、お棺が少し傾いただけで蓋もずれてしまうような構造でした。しかし、時代とともにこの構造も見直され、お棺そのものも多様化して来た結果、釘で留めずとも蓋はしっかりと閉じ、逆さにでもしない限り蓋がずれ落ちるといった事もない構造に変化しました。こちらが理由の一つです。

2 ご遺族からの要望によるもの

実際に釘打ちの最後の時はしっかりと蓋を閉じた為、その音も結構な音がしました。お客様であるご遺族の皆様からも葬儀を終えた後にも「あの最後の釘を打つ時の音が未だに強く記憶に残っている」と仰る方も多くいらっしゃいました。このような経緯もあり、本来の意味や目的が失われ、儀式だけが形として残っている状況であるならば、ご遺族の皆さまが辛い思いをするものを継続する意味もないのではないかと考え、その慣習を無くしていき、現代に至っています。

お葬式というのは、全国どこの土地にもその土地ならではの習慣・慣習があるものです。そうした習慣の中には後世まで残しておくべき良い習慣もあれば、時代の経過と共にその目的や意味が失われてしまい、形だけが残っているものもあるように思います。その時々の時代背景も十分に考慮した上で、残していくべきものと変えていくべきものを取捨選択していかなければならないと思います。

如何だったでしょうか。本日は以上です。

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この記事の著者:(株)中本葬祭/施工部 環境保全課 係長 山下 浩司