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紀南地方で5式場を運営しております中本葬祭の内村です。
葬儀費用の支払いについて「可能ならば故人の遺した預金で支払う事が可能ならば」とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、中には「故人の銀行預金は凍結されて払い戻しは不可能」といった話を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
もし、葬儀費用を故人の預金から払い戻して貰うことが出来、そのお金を葬儀費用の支払いに充てる事が出来るならば、そういった不安も解消に向かうでしょう。
今現在、故人の預金を払い戻してもらう事は、ご想像以上に難しくなっているのが現状です。
そもそも故人の預金は「相続財産」であり、いくら故人本人の葬儀とは言えども、かんたんに払い戻してもらうことはなかなかできないのです。
そこで今回は、葬儀費用に充てる目的で故人の預金を払い戻してもらう方法について、銀行への直接請求は可能か?そして、現在法改正で故人の預金を払い戻してもらうための方法がどのようになったかということを中心にご紹介させて頂きます。
葬儀費用の為の払い戻し(銀行への請求)は出来る?
一例としまして、以下のような事例で葬儀費用の払い戻しを受けたいと考える状況をご紹介させて頂きます。
夫を亡くして葬儀を行いたいと考えているAさん。相続人は、妻であるAさん(57歳)、長男Bさん(32歳)、長女Cさん(28歳)の3人です。
夫の遺産は、1300万円の預貯金のみです。妻の法定相続分は2分の1ですから、預貯金のうち、今後の自身の生活もあり、半分ほどは相続したいと考えています。
また、夫の葬儀には費用が100万円ほどかかりますが、夫名義の預金口座に預貯金を預け入れてた為、そのお金をすぐに用意することが難しい状況です。
子供たちとは仲がよくなく、自分個人の預貯金は50万円もないため、このままでは葬儀費用の支払いについて、どうしようかと悩ましい状況です。
上記のような事例でお金が足りず「もし、故人の預金残高から引き出す事が出来れば」と考えるような状況は、ほかにも数多くあるでしょう。
そんな時には、「遺産分割前の相続預金の払い戻し制度」を利用することで故人の遺産を払い戻し、葬儀費用に充てる事が可能になっています。
遺産分割前の相続預金の払い戻し制度について
遺産分割前の相続預金の払い戻し制度とは、前述のような葬儀費用や配偶者であったりご家族の当面の生活費や各種支払いなどでお金が必要になった場合、銀行から相続預金の払い戻しについて遺産分割を行う前の段階であっても可能にした制度です。
この制度を利用して払い戻せる金額の上限はありますが、葬儀費などをすぐに用意できないなどといった場合に引き出せる制度に改正されました。
法律の改正によって葬儀費用の為の払い戻しが可能になりました
これまでは遺産分割をする前の段階で、故人の預貯金を払い戻す為には、家庭裁判所に仮処分を申請するなどの大変な手間がかかりました。
加えて仮処分申請の要件そのものも非常に厳格であり、現実的には遺産分割前に払い戻しを受けることは難しい事でした。
また、払い戻しまでの時間も1ヶ月ほどかかる場合があるなど時間がかかっており、支払いを急ぐ場合には、こうした手続を断念する方が多かったでしょう。
しかし、2019年7月に民放が改正されたことで、一定の上限金額までであれば、家庭裁判所の判断を待つことなく、銀行に直接請求することが可能になりました。
葬儀費用のための払い戻し金額の上限とは?
上記の法改正を行った民法909条の2では、以下のように払い戻し金額の上限を定めています。
以下に引用させて頂きます。
各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。
(引用:民法第九百九条の二)
引用ここまで
この条文をもとに上限金額を考えると、以下の計算式で上限金額を割り出すことが可能です。
払い戻し上限金額=(相続時の口座残高)×1/3×払い戻しを求める相続の法定相続分
最初にご紹介したケースを当てはめてご説明させて頂きますと、まず最初に口座残高が1300万円あり、妻の法定相続分は2分の1ですから上記の計算式に当てはめて考えると、217万円を上限として払い戻しを受けることが可能になります。
法務省令により最高150万円まで払い戻しが可能です
一方、前述させて頂いたルールとは別に、法務省で遺産分割前の払い戻し金額については厳密に「150万円まで」と定められています。
この取り決めは民法上のものとは全く別のものですが、銀行など金融機関側でも法務省令は遵守しなければいけないため、
結論としましては、基本的に払い戻し金額の上限は最高でも150万円までと考えておいたほうがよいでしょう。
また、口座の残高によっては150万円引き出せない場合もある点には注意が必要です。
たとえば口座の残高が500万円で相続人が2人だった場合、1人の相続人が引き出せるのは、約83万円になります。
遺産分割前の相続預金の払い戻し制度って本当に利用できるの?
このような遺産分割前の相続預金の払い戻し制度ですが、本当にこの制度を利用して金融機関から預金の払い戻しを受けることは可能なのでしょうか。
実際にこの制度を利用しようとすると、準備や手続きなどに関して手間や時間がかかり、使い勝手が悪い側面もあります。
以下にこの制度の問題点について、2点ご紹介させて頂きます。
提出しなければいけない必要書類が沢山あります
この制度を利用するに際しては、提出しなければならない書類が数多くあります。
以下に必要書類を記載させて頂きます。
・被相続人(亡くなられた方)の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
(※出生から死亡までの連続したもの)
・相続人全員の戸籍謄本、または全部事項証明書
・預金の払い戻しを希望される方の印鑑証明書
上記のような書類が揃ってなければ金融機関から払い戻しを受けることは不可能になっています。
このなかで最も時間がかかる可能性があるのは、「相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書」と言えます。
相続人全員が近くに住んでいる状況であれば、すぐに集められることもあるでしょうが、相続人の一部が遠隔地に住んでいるような場合には、連絡を取り、事情を説明して書類を取って来てもらう必要があります。
また、郵送などで時間がかかる場合もあり、こうした事が重なると、結果として書類の準備までに1ヶ月ほど掛かってしまうような場合もあるでしょう。
対応する銀行が少ない問題点があります
この制度は前述したとおり2019年7月から始まったもので、まだまだ新たしい法律と言えます。
そのため、まだ新しい制度を運用してから日が浅く、対応するための実務環境が整っている銀行や金融機関が限られているという問題もあります。
また、手続きそのものに関しても時間がかかる可能性もあり、自分の思ったタイミングのように、すぐに預金を払い戻してもらえない可能性があることも覚えておいて頂ければと思います。
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この記事の著者:(株)中本葬祭/業務執行役員 部長 内村 恵