こんにちは。新宮市、那智勝浦町、太地町の葬儀・家族葬
お葬式の中本葬祭の山下です。
新宮市や那智勝浦町でも多い臨済宗と曹洞宗のお寺について、よく似た雰囲気だけど
これら二つの宗派は異なる宗派ですので違いもあります。
そこで今回は臨済宗と曹洞宗の違いについてご紹介させていただきます。
はじめに
臨済宗と曹洞宗は、日本の仏教において「禅宗」と総称される宗派の代表的な二つです。どちらも坐禅を中心とした修行を行いますが、その思想や実践方法には大きな違いがあります。
そこで今回は、臨済宗と曹洞宗の歴史や特徴、坐禅に対する考え方の違いなどを詳しく解説します。
1. 禅宗とは
よく地元ではご年配の方から「禅宗」という宗派の呼称や「禅寺」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、「禅宗」は正式には存在せず、臨済宗・曹洞宗・黄檗宗の三つを総称して「禅宗」と呼ばれる事が多いです。これらの宗派は、中国の禅仏教をルーツに持ち、日本に伝えられて発展しました。いずれの宗派も坐禅を重視しており、特に臨済宗と曹洞宗は日本で広く信仰されており、私どもの地元である那智勝浦町や太地町、新宮市などにも多くのお寺が存在します。
2. 臨済宗と曹洞宗の歴史
臨済宗の歴史
臨済宗は、中国唐代の禅僧・臨済義玄(りんざいぎげん)によって開かれました。その後、鎌倉時代に栄西(ようさい)によって日本に伝えられました。栄西は中国で禅を学び、帰国後に禅の教えを広めました。鎌倉幕府の支援を受けたことで、臨済宗は武士階級を中心に急速に広まりました。
曹洞宗の歴史
曹洞宗は、中国の禅僧・洞山良价(どうざんりょうかい)と、その弟子である曹山本寂(そうざんほんじゃく)によって創始されました。日本には鎌倉時代に道元(どうげん)によって伝えられました。道元は中国で修行し、帰国後に日本独自の禅の教えを確立しました。曹洞宗は、農村を中心に庶民の間に広まりました。
3. 坐禅の考え方の違い
臨済宗の坐禅観
臨済宗では、坐禅は悟りを開くための手段とされています。そのため、坐禅の最中に「公案(こうあん)」と呼ばれる禅問答を用いた修行が重視されます。公案とは、師匠(老師)から弟子に与えられる問題であり、これを考え抜くことで悟りへと至るとされています。例えば、「隻手の声(せきしゅのこえ)」という公案は、「片手の音とは何か?」という問いで、論理的な思考では解決できないため、直感的な悟りが求められます。
臨済宗の禅寺では、師匠と弟子の問答が頻繁に行われ、弟子は公案の答えを見つけるために何度も老師のもとを訪れます。これは、悟りへ至るための厳しい鍛錬とされています。
曹洞宗の坐禅観
曹洞宗では、「只管打坐(しかんたざ)」という言葉に象徴されるように、坐禅そのものを目的としています。「ただひたすら坐る」こと自体が修行であり、それは悟りへ至る手段ではなく、すでに仏の境地にあるという考え方です。
曹洞宗の坐禅は、壁に向かって静かに座り、何かを考えたり、特定の問題を解決しようとするのではなく、ただ坐ることに集中します。この姿勢は、日常生活の中で仏の行いを実践することと結びついており、「修行即生活」の精神が強調されます。
4. 修行の実践方法
臨済宗の修行
臨済宗では、坐禅に加えて、公案の修行や師匠との問答が重要な役割を果たします。僧侶たちは、厳しい修行生活を送りながら、公案に取り組み、悟りを得ることを目指します。また、京都の妙心寺や建仁寺などの名刹は、臨済宗の禅修行の中心地として知られています。
臨済宗の修行は武士文化とも深く関わりがあり、精神鍛錬や武士道の一部としても受け入れられました。そのため、歴史的に武士や武将が臨済宗に帰依することが多かったのです。
曹洞宗の修行
曹洞宗の修行では、坐禅の他に、日常生活のすべてが修行とされています。禅僧たちは、掃除や炊事などの作務(さむ)を行いながら、修行を続けます。これらの日常的な行為を丁寧に行うことが、仏の道につながると考えられています。
曹洞宗の代表的な修行道場としては、福井県の永平寺や神奈川県の總持寺があり、ここでは多くの僧侶たちが厳しい修行を続けています。
5. 教義や思想の違い
臨済宗では、悟りを目指す「頓悟(とんご)」の考え方が重視されます。これは、一瞬のひらめきによって悟りに至るというもので、公案の修行を通じて、師匠からの一撃や言葉によって突然悟ることがあるとされています。
一方、曹洞宗では「漸悟(ぜんご)」の考え方をとります。これは、長い時間をかけて少しずつ悟りに近づくというものであり、日々の坐禅や作務を通じて、悟りの境地に至ると考えられています。
まとめ
臨済宗と曹洞宗は、どちらも坐禅を中心とする禅宗の宗派ですが、その考え方には大きな違いがあります。臨済宗は、坐禅を悟りを開くための手段とし、公案の修行を重視します。一方、曹洞宗は、坐禅そのものを目的とし、ただひたすら坐る「只管打坐」を実践します。
このような違いを理解することで、禅の奥深さを知ることができ、それぞれの宗派の魅力をより深く感じることができるでしょう。臨済宗と曹洞宗どちらも日本仏教の重要な柱として、多くの人々に影響を与え続けています。
如何だったでしょうか。本日は以上になります。
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この記事の著者:(株)中本葬祭/施工部 山下 浩司
最終更新日 2025年3月9日