中本葬祭ブログ

旧姓に戻す複氏届について

こんにちは。 ありがとうで送るお葬式®

家族葬のウィズハウス新宮・ベルホール中本・ザ・スランバーズガーデン・そうそうの郷太地

紀南地方で5式場を運営しております中本葬祭の山下です。

一般的に結婚をすると配偶者の姓になることが多いですが、配偶者が死亡した場合、残された配偶者はそのままの姓でいるか旧姓に戻すかを自由に選ぶ事が出来るのをご存知でしょうか。
旧姓に戻すことで悲しみに区切りを付け、新たな人生を歩みたい、死別した配偶者の親族と関係が思わしくないので姓を変えたい、旧姓に戻して復職したいなどその理由は様々です。

旧姓に戻すには市区町村の役場に「復氏届」を提出することでそれが可能になります。

今回は、こちらの「複氏届」についてご紹介させていただきます。

複氏届けについて

旧姓に戻す場合、市区町村の役場に提出する必要があるのが「復氏届」です。

復氏届は姓(氏)が変わるだけなので、死亡した配偶者の姻族関係はそのまま残ります。
こちらの提出期限は定められていませんが、国際結婚の場合は3か月以内に提出しなければならない期限があり、期限を超えると家庭裁判所の許可が必要になるなど煩雑になりますので注意が必要です。

死亡した配偶者の死亡届が受理された後ならいつでも提出できますが、戸籍の作成のため正式に交付されるまで数日かかりますので即日交付は出来ません。

複氏届と姻族関係終了届には違いがあります

結婚をすると配偶者の血族との間に姻族関係が発生します。配偶者が死亡すると別段の手続きをせずとも配偶者との婚姻関係は死別という形で解消しますが、死亡した配偶者の血族との関係は自然に消滅せずそのまま残ります。

姻族関係の継続を望まず、これを消滅したい場合には「姻族関係終了届」を市区町村の役場に提出する必要があります。
この届出も復氏届と同じく、残されたご本人は配偶者の血族の同意を得ることなく提出できます。

姻族関係終了届は残された生存配偶者のみ提出が可能です。死亡した配偶者の血族であっても姻族関係終了届は提出出来ません。

復氏届は姓(氏)だけを変える届出ですから、死亡した配偶者側の姻族との関係はそのまま残ります。姻族のままだと死亡した配偶者側に扶養が必要な方がいれば扶養の義務が発生します。本来、直系血族が互いに扶養をする義務はありますが姻族はこれに含まれません。
しかし、姻族関係がある場合、事情によっては家庭裁判所から扶養することを命じられる可能性があります。

こうした可能性を抹消するには姻族関係終了届が必要になります。

姻族関係終了届のみの提出であった場合、姓は死亡した配偶者と同じ姓のままです。

従って、姻族関係の終了と共に旧姓に戻したいといった場合には、復氏届を別途提出する必要がありますし、複氏届を提出したからと言って、死亡した配偶者側の姻族との関係が無くなると言うわけではありませんので、これらを混同して誤解してしまわないように注意が必要です。

複氏届を提出する際に必要な書類について

復氏届を提出できるのは本人のみです。提出する際には、復氏届以外の書類も必要になりますので、予め準備をしておきましょう。もし、本籍地以外で複氏届を提出する場合には、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が必要になります。

本籍地の場合であれば戸籍謄本は不要です。

復氏届を提出することは死亡した配偶者の戸籍から抜けるため、新しい戸籍を作るか結婚前の戸籍に戻るかを事前に決めておかなければなりません。結婚前の元の姓に戻すなら婚姻前の戸籍謄本も必要となります。また、結婚前の姓に戻りたくない場合には分籍届を共に提出する必要があります。これらの書類の他には届出人の印鑑が必要になる場合がありますので忘れずに持参するようにしましょう。

複氏届を出すメリットとデメリットについて

復氏届は一度提出し、受理されると元の姓(復氏届提出前の姓)に戻す事は出来ませんので、安易に決定せず、しっかりよく考えてから復氏届を出すようにしましょう。

複氏届を出すメリットとは?

姓を戻すことで精神的に区切りが付き、楽になる


死亡した配偶者の血族(残された本人にとっては姻族)とは今後お付き合いしたくない場合は、まず姓を戻すことで精神的に楽になります。復氏届だけでは完全に姻族と関係は切れませんが、姓が変わるというのはやはり、人の人生において大きな転換になると言えます。

実家に戻る場合には旧姓の方が何かと便利な場合が多いです


配偶者の死後、もし実家に戻る場合には、旧姓に戻したほうが何かと便利なようです。契約関係など一緒に住んでいるのに姓が異なると、その証明などについて煩雑になることが多々あります。

職場復帰する場合には旧姓の方が関係を構築し易い


結婚を機に退職したが、配偶者の死後に復職する場合には、独身時代に旧姓で仕事をしていた方は旧姓に戻したほうがスムーズに職場関係を構築することが出来るとの考え方もあるようです。

複氏届を出すデメリットについて

復氏届だけでは子供の姓は変更されません


復氏届は提出をした本人のみが変更される内容のものです。死亡した配偶者との子供の姓は変更されず、そのままになります。子供の姓を自分の姓と同じ姓にしたい場合には、家庭裁判所に子供の姓の変更許可申立書を提出した上で許可審判を受ける必要があります。許可が通れば復氏届をした本人の戸籍に入籍する「入籍届」を提出した後に同じ姓になります。

各種契約など全てに名義変更が必要になります


姓を変えることで名義変更の手続きが煩雑になります。運転免許証や銀行口座、公共料金、生命保険、自動車の名義変更、クレジットカードやローン、携帯電話の名義など諸々全てを変更しなくてはいけません。

膨大な書類の書き換えや、本人確認のため関係各所に行かなければなりませんし、それに伴う本人確認書類も都度、必要になります。

親族や友人とのこれまでの関係性が変わる可能性があります


死亡した配偶者の親族との付き合い方が変わる可能性があります。復氏届は姓が変わるだけですが、日本は「家」の考え方が強く、旧姓に戻るということは家から抜けると受け止められてしまう可能性があります。従って今までとは異なる関係性になってしまう可能性があります。もし、死亡した配偶者との親族との関係性までを変えたくないとお考えの場合には、複氏届を提出する前に、しっかりと相談した上で、ご理解を得てから手続きを行うようにしましょう。

如何だったでしょうか。本日は以上です。

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この記事の著者:(株)中本葬祭/環境保全課 係長 山下 浩司