中本葬祭ブログ

おはぎとぼたもちにまつわる呼び方の違いや由来について

2020/03/07

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お彼岸の時期に食べられる「おはぎ」と「ぼたもち」ですが、新宮市や那智勝浦町では「ぼたもち」と呼ばれることはあまりなく、「おはぎ」と呼ばれることがほとんどです。

そもそも、おはぎとぼたもちは似たような食べ物であり、現在ではこれらを分けて呼ばれることも少なくなっています。しかし、元来おはぎとぼたもちでは作る季節に違いがあり、別の呼び名もあったのです。

おはぎとぼたもちは、その形状やあんこの種類で呼び方を分けることもできますが、地域による呼び方の違いもあります。

そこで今回は、ちょうどお彼岸前でもありますので、「ぼたもちとおはぎにまつわる呼び名や由来」についてご紹介させて頂きます。

 

おはぎとぼたもちの違いについて

ぼたもちとおはぎは、それぞれ作る季節に違いがあり、その季節の花の名前に由来しています。
元々ぼたもちは江戸時代に春のお彼岸に食べられていたものでした。その当時、砂糖は大変貴重でしたので、あんこは塩味で作られていましたが、江戸時代中期になると砂糖の入ったあんこが少しずつ広まっていきました。
一説にはその姿を牡丹の花に見立てたことから、「ぼたんもち」と呼ばれていたのが「ぼたもち」に転じたとも言われています。
一方のおはぎは、秋のお彼岸に食べられていました。秋の七草のひとつである萩の花と小豆の形状が似ているため、元々は「おはぎもち」と呼ばれていたのが「おはぎ」に転じたとされています。
さらに、夏や冬に作る場合には別名があります。
夏の別名は「夜船(よふね)」です。おはぎを作るときには臼でつくことはせず、米を潰して作られるため、餅をつく時のようなペッタンペッタンといった音が出ません。
そのため、近隣の住人であったとしてもおはぎを「ついた」のがいつなのか分からないことから、夜は暗くて船がいつ「着いた」のか分からない「夜船」になぞらえて呼ばれるようになりました。 また、冬は「北窓」とも呼ばれ、北にある窓からは「月」が見えないことから来ています。
搗(つ)くことをしないことから、これが転じて「月知らず」となったわけです。
現代では、こうした季節の区別なく呼ばれることが多いおはぎやぼたもちですが、春夏秋冬で「ぼたもち」、「夜船」、「おはぎ」、「北窓」と分けて呼ぶこともできるのです。

お彼岸とおはぎやぼたもちとの関係性について

しかしなぜお彼岸におはぎをいただくようになったのでしょうか?
この風習は、江戸時代にお彼岸や四十九日の忌明けに食べる風習として定着したようです。
あずきの赤色には、災難が身に降りかからないようにするおまじないの効果があると信じられていて、古くから邪気を払う食べ物としての信仰が、先祖の供養と結びついたと言われています。 また仏教では、彼岸は、彼の岸として悟りの境地を言い、苦しみに満ちている此岸と対になる言葉として使われています。
そこで彼岸中は仏道修行に励む訳ですが、日本では祖霊崇拝の慣習を合わさり、ぼたもちやおはぎを捧げ、先祖を慰め、自分自身の功徳を積んでいました。
つまり本来は、自分たちで食べるものではなかったんですね。
現代においても、一部の寺院様の葬儀において、繰り上げの初七日法要時にはおはぎを御仏前に用意するようご指導を頂いており、私たち中本葬祭でも準備させていただいています。
また、「暑さも寒さも彼岸まで」と古くから言われるように、春の彼岸は農作業が始まる時期で、秋の彼岸は収穫の時期にあたります。
よって、春には収穫をもたらす山の神などを迎えるためぼたもちを、秋には収穫を感謝しておはぎを作ったという説もあります。

つぶあんとこしあんの違いって?

もしかすると粒あんがぼたもちで、こしあんがおはぎと思っていらっしゃる方も多いのかもしれません。
しかし、これは元々はあんの材料である小豆の収穫時期に関係があったのです。 秋のお彼岸は、小豆の収穫期とほぼ同じ時期で、収穫したての柔らかい小豆をあんにすることができます。
柔らかい皮も一緒につぶして使うので、つぶあんができます。
一方、春のお彼岸は、一冬を越した小豆を使うことになりますので、時間が経過したぶん皮は固くなっています。
当然固くなった皮をそのままに使っては食感が悪くなります。そこで皮を取り除いた小豆を使い、こしあんができます。
こうした背景から、春のぼたもちはこしあんで、秋のおはぎは粒あんという形になりました。
しかし、今では小豆自体の保存技術の発達や小豆の品種改良により、春でも皮のまま使うことができる小豆が手に入るようになり、現代では季節による違いよりも、よりその土地で呼ばれる名称で、春のお彼岸、秋のお彼岸の違いに関係なく統一した呼び名で親しまれている事が多くなった理由とも言えるかと思います。
 

如何だったでしょうか。 本日は以上です。

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この記事の著者:(株)中本葬祭/美粧企画部 係長 裏東 勢子