こんにちは。
ありがとうで送るお葬式®
家族葬のウィズハウス新宮・ベルホール中本・ザ・スランバーズガーデン・そうそうの郷太地を運営しております中本葬祭の坪田です。
お棺には小さな窓が付いていますね。そこを開けると故人のお顔が見られるようになっています。
現代ではお顔のみならず、上半身全体あたりまで見ることができる窓の大きいお棺も少しずつ増えてきております
近年、多様化するお葬式の価値観やニーズに対応した様々な製品が開発されてきていますが、では、なぜお棺の蓋には小窓がついているのか?今回はこの内容をご紹介させていただきます。
時代の変化とともに形も変化していったお棺
お棺の小窓についてのお話をさせていただくに当たり、そもそものお棺の形からご紹介させて頂く必要があります。というのも、お棺は昔から現代のような形であった訳ではなく、昔は座棺と言いまして、ちょうどあぐらをかいたような形(起きた状態)でお棺に納棺し、埋葬していました。ですので、お棺とはいえどちらかと言うと箱に近いようなイメージでした。昔は現代のようなお棺を製造される専門の会社も無く、地元の大工さんなどが地元で不幸事が発生したとなりますと、特急で座棺を作ったという話を聞きました。勿論、この時代にはお棺には窓はついておらず、故人の頭上に蓋があり、釘で蓋を閉じていました。
戦後より少しずつ現代の形の棺へと変化していきます。
お棺の形状が現代の形に本格的に変化しはじめたのは戦後からのようです。それを表す一つの記録になります京都市の「火葬における座棺と寝棺の比率」によりますと昭和21年には72%の割合いで座棺が使用されていましたが、昭和27年には54.9%まで減少しています。こうした記録から、世の中全体の流れとして座棺から寝棺へと変化していったのが戦後から先の時代における出来事だったのではと推測されます。
寝棺になってから窓の有無についての変化があったものと思われますが、これが様々な世の流れとともに変化していったようです。
お棺の蓋に窓がつくようになったキッカケ
昭和30年代の半ば頃、お棺といえば杉板で製造していたそうですが、その蓋にキリで四隅に穴を空け、特殊なのこぎりで開けた後に窓をつけたそうです。窓にはパラフィン紙を貼っていたそうで、窓を釘で止める際にうっかり紙を破ってしまうとノリで貼り直したというお話でした。また、お棺そのものの価格も、窓付きと窓なしによってその価格も異なり、窓付きのお棺の方がより高価だったようです。
お棺に窓が付いている理由としては勿論、故人の顔を見るためですが、窓付きのお棺が広く一般化してきた時代とドライアイスが少しずつ手に入りやすくなり、ご遺体保存の用途に使用されることでご遺体の傷みが少なくなってきた時代と一致します。ドライアイス等でのご遺体の腐敗を遅らせる処置を施さなければ、通常死後12時間から24時間経過しますと顔色が変色してしまいます。ドライアイスが手に入らない時代は、ご遺体の臭いを少しでも抑えるように消臭の粉をご遺体にふりかけていたという話も聞いたことがありますし、昔は神道の葬儀では現代のようにお棺が見える形ではなく、祭壇の裏側にご安置してました。ですので、当時は葬儀の際には現代のようにご家族だけではなくご近所の方などに故人のお顔をお見せできるような状態ではなかったのかも知れません。しかし、ドライアイスの普及とともに最期の時まで故人のお顔を保てるようになった結果、お棺そのものも、より故人のお顔が見られるように変化していったのですね。また、こうしたニーズとは別にお寺様が儀式の中で故人の頭に剃刀を当てる必要があり、窓付きである必要があったという話もあります。
この記事の著者:(株)中本葬祭/美粧企画部 課長 坪田 玲子