中本葬祭ブログ

冷やすだけではないドライアイスの効能とは?

2019/10/10

こんにちは。

ありがとうで送るお葬式®

家族葬のウィズハウス新宮・ベルホール中本・ザ・スランバーズガーデン・そうそうの郷太地を運営しております中本葬祭の坪田です。

御遺体の腐敗を遅らせる保存方法として、ドライアイスが一般的ですが、ドライアイスには単に冷やす事で御遺体の保存をしているわけではなく、様々な利点があることは私たちのような専門業者であれど知っている人はほとんどいらっしゃいません。

私自身、日本納棺師協会の一級技能資格を取得している立場からも、今回はこちらをご覧の皆様にも知っておいて頂きたい情報として「冷やすだけではないドライアイスの効能」についてご紹介させて頂きます。

その他、ドライアイスの使用量は誰しも同じ数と決まっているわけではなく、適切な使用量が存在します。適切なドライアイスの使用量については以下のリンクをご覧くださいませ。

あわせて読みたい「適切なドライアイスの量は時期や人により異なります」

 

ドライアイスとは?

ドライアイスは固体二酸化炭素の商品名を言います。ドライアイスは溶けて液体にはならず、気体となって昇華します。昇華温度は−78.5 ℃です。

この性質を利用して演出などでドライアイスの気化された白い煙を利用したりしているのをご覧になったことがある方も多いかと思います。

あの煙はドライアイスから発生するものではなく、ドライアイスを空気中に置くことで空気中の水分が凍り、白煙が発生しています。

ドライアイスは以下のような工程で製造されます。

  1. 製油所の精製過程、アンモニアの製造過程やビール工場等の発酵過程などで出る、副産物としての気体の二酸化炭素(炭酸ガス)を用意し、洗浄塔で精製します。
  2. 精製された気体の二酸化炭素を、加圧圧縮した後に冷却して液化させます。
  3. 液化された二酸化炭素を急速に大気圧力にすると、気化熱が奪われることにより炭酸ガスの温度が凝固点を下回ります。このことを利用して粉末状の固体にします。
  4. その固体をプレス機で成形して製品にされます。この方法で製造した場合、ドライアイスは細かい粉体(パウダースノー(粉雪)状態)で圧縮しても固めることができません。ブロック状またはペレット状で市販されるドライアイスには固めるための水が数%添加されています。

 

ドライアイスの使い方

実際の葬儀の現場でのドライアイスの使い方についてご紹介させて頂きます。勿論、用途としましては御遺体保存が目的であるのは言うまでもありません。ドライアイスは御遺体と一緒に火葬をしても有害ガスが発生しないことから、現在でも最も需要が多く、葬儀の現場でも使用されています。

通常はブロック状のものを使用します。全国的にも葬儀の現場において一般的な一度の使用量は10kgである事が多いですが、頭部の後や特別に冷やす必要のある場合には適宜その数量を変えて使用します。

また、ドライアイスの使用量は誰しも同じ数と決まっているわけではなく、適切な使用量が存在しまして、人や環境によりその数量は変化します。

適切なドライアイスの使用量については以下のリンクをご覧くださいませ。

あわせて読みたい「適切なドライアイスの量は時期や人により異なります」

 

ドライアイスの効能について

ドライアイスの効能として、温度が低いというのも非常に重要なことではあるのですが、二酸化炭素は水や油にもよく溶け、水溶液中の炭酸においては弱酸性になります。窒素ガスにはない抗菌、防虫作用があり、好気性菌、カビ、害虫等の発生を押さえる効果がありまして、腐敗や虫の防止にも大きな効果があります。

二酸化炭素濃度が30%以上で一定の効果があり、50%以上ではほとんどのカビが防止できます。つまり、二酸化炭素は防腐効果、防カビ効果、防虫効果という御遺体保存にとっては非常に重要な要素が全て揃っていると言えます。ただ冷やす為だけがドライアイスが長く使われている理由ではないのですね。

また、ドライアイスの二酸化炭素の空気の層は一般的な空気よりも水分の保持力が極めて小さく、御遺体の皮膚が弱くなるのは水分によってふやけていってしまうのが大きな要因なのですが、ドライアイスで冷やして水分が少ない状態を保持するためには、お棺の中の二酸化炭素濃度を高くする事が非常によく効きます。

このため、真夏や冬であっても暖房をよく効かせたお部屋の中で御遺体をご安置する場合には、御遺体保存の観点から言えば、早目にお棺にお納めさせて頂く方が、よりこれらの効果を発揮しやすく、結果、御遺体もより美しい状態で最期のお別れまで保存する事が出来るようになります。

とはいえ、やはりご家族の皆様の心情的な部分もありますので、実際の葬儀の現場では、そうしたご家族の皆様の心情等も充分に配慮した上で、お棺にお納めさせて頂く時間をご提案させて頂いております。

このあたりの見極めも、やはり葬儀のとりわけご納棺の業務に携わらせて頂いている立場としても重要な部分として、しっかりとした周辺知識を持ち合わせていなければならないと思っております。

 

本日は以上です。
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中本葬祭 0735-52-4966
 

この記事の著者:(株)中本葬祭/美粧企画部 課長 日本納棺師協会認定一級納棺技能士 坪田 玲子