中本葬祭ブログ

叔父さん、叔母さんが生活保護を受けている場合の葬儀は?

2019/10/07

こんにちは。

ありがとうで送るお葬式®

家族葬のウィズハウス新宮・ベルホール中本・ザ・スランバーズガーデン・そうそうの郷太地を運営しております中本葬祭の山下です。

生活保護を受けていらっしゃるお身内の方の葬儀についての相談を頂くことがしばしばあります。

様々な状況におけるご相談を頂きますが、生活保護法という昭和25年に制定された法律の中に「葬祭扶助」について取り決めが記載されており、どこの自治体もこちらに基づいて運用されています。

では、例えば故人が和歌山県新宮市在住であり、ご親族の方は大阪にお住まい。新宮市に葬儀の為に何日も家を留守にして出かけるのならば、自らの住んでいる大阪府で葬儀をと考えているけれど、この場合、新宮市から葬祭扶助は受けられるのでしょうか?

今回は、このような「ご親族が生活保護受給者であった場合の葬祭扶助について」のお話を中心にご紹介させて頂きます。

 

生活保護法について

 
はずは昭和25年に制定された日本の法律「生活保護法」にある【葬祭扶助】についてはどのような事が書かれているか一緒に見てみましょう。
 
………………………………………………………
 
(葬祭扶助)
第十八条 葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
一 検案
二 死体の運搬
三 火葬又は埋葬
四 納骨その他葬祭のために必要なもの
2 左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。
 一 被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。
 二 死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。
第四章 保護の機関及び実施
 
…………………………………………(厚生労働省ホームページより引用)
 
ちょっとわかりにくいですね。
 
冒頭にある18条4項「その他葬祭のために必要なもの」という表現があいまいですが、「検案・死体の運搬・火葬又は埋葬・その他葬祭のために必要なもの」が対象という記載のとおりです。
裏を返せば「これら以外は適用の範疇からは外れます」という意味合いにもなります。
 
■葬祭扶助(葬儀費用の支給)の条件
 
生活保護受給者すべてが葬祭扶助を受けられると思っている方も多いですが、決してそうでない場合もありますから注意が必要です。
 
  1. 生活保護受給者であっても葬祭扶助が出ない場合があります
  2. 生活保護を受けている方は「世帯」として受けています。
  3. その世帯の中で、お葬式をあげる場合は葬祭扶助の対象になります。

 

一例として生活保護の受給を受けている世帯に夫婦二人が住んでいたとします。先にご主人が亡くなった場合は、喪主の奥様に「葬祭扶助」が支給されます。
そのあとに一人になった奥様が亡くなった場合、生活保護を受けていない別世帯の家族が喪主となり葬儀をあげることがあります。
 
この場合、葬祭扶助の対象にならないことが多いです。

自治体によりこの範疇、つまり法律の解釈が異なる場合がありますので、絶対とは断言できませんが冒頭で申し上げた件につきましては、前述の生活保護を受けていない別世帯の家族が喪主となり葬儀をあげるという事になりますので、葬祭扶助の支給の条件からは外れてしまう事になるという判断になる可能性が高いと言えるかと思います。

 

全国どこの自治体も毎年の限られた予算の中からやりくりをされていますので、基本的な考え方としては「お身内の方でどなたかが葬儀をあげる人がいるのであれば、その人がお見送りをしてください」というスタンスです。これは、儀礼としても費用の面としても同一です。つまり「お葬式の費用はこちらで何とかするから、お寺様など宗教家の方への御布施の一部だけでも負担してくれないか?」といった事や、「葬儀費用の一部だけでも負担してくれないか?」といった場合、これらいずれとも葬祭扶助の対象とはならないと言って間違いないです。

御香典辞退のお葬式が那智勝浦町の葬儀でも新宮市の葬儀でも非常に多くなってきましたが、そもそも御香典はこうした場合を含めた精神的にも経済的にも大変な状況にある方への「助け合いの精神」であったものなのです。ですので、昔は葬儀内容を必要以上に華美にはせず、質素な形に留め、不必要な事はしないといった形を取れば、御香典返しとなる会葬返礼品や飲食接待費を含めた葬儀費用の全て、そして宗教家の方への御布施をお渡ししても実際のご家族の方の持ち出し費用は発生しなかった場合がほとんどでした。

御香典、御供物ご辞退のお葬式が多くなった現在では、このような事がなくなり、見た目上の額面葬儀費用は大幅に減少した一方で、その費用全額を持ち出し費用で負担しなければならなくなったのは御香典辞退の慣習による弊害といって差し支えないでしょう。

地域の古くからの風習や慣習といったものは、ただ意味もなくやっていたという訳ではなく、それにはそれにまつわる先人の生活の知恵も多く含まれているものなのですね。

 

本日は以上です。
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この記事の著者:(株)中本葬祭/施工部 業務保全係長 山下 浩司