中本葬祭ブログ

葬儀の時にご飯を炊いて箸を立てるのはなぜなの?

2019/08/23

こんにちは。 ありがとうで送るお葬式® 家族葬のウィズハウス新宮・ベルホール中本・ザ・スランバーズガーデン・そうそうの郷太地を運営しております中本葬祭の中本です。   親戚や家族などの不幸事があり、葬儀をあげた経験がある方はご存知かと思いますが、 ご自宅や式場などに安置された際に「枕飾り」と言われる線香やろうそくなど一式を飾ります。 その際に、故人の使っていたお茶碗にご飯を新たに炊き、山盛りに盛ります。 そしてその上に互い違いなお箸を立て、枕飾りと共に故人の枕元あるいは「経机」と呼ばれる白木の机の上に白木のお膳を用意した上で設置します。 何となく「そういえばそんな事あったな」という方もいらっしゃるかと思いまが、その意味などについてはご存知ない方もいらっしゃるかと思います。 今回は、この「枕ご飯(仏飯)」(所によっては「一膳飯・枕膳・枕飯・枕供(まくらく)」とも呼ばれます)と呼ばれるこちらのご飯の意味や、 新宮市、那智勝浦町周辺の葬儀で見られる枕ご飯を含めた品についてご紹介させて頂きます。 以下、今回は「枕ご飯」と統一してご紹介させていただきますね。  

「枕ご飯」の準備について

実は葬儀にまつわる故人に捧げる食べ物については、全国各地で実に様々な説があります。 どの説が正解というものではなく、その土地で信じられている説がその土地においての有力な情報と言えると思います。 今回、出来るだけ可能な限り様々ある説についてもご紹介させていただきますが、あくまでも数ある情報の中の一つとして捉えて頂けましたら幸いです。   1.故人の使っていたお茶碗とお箸を塗りのお箸と竹のお箸一本ずつといった感じで互い違いに用意します。 2.その時、炊飯ジャーに入っているご飯ではなく、故人のために新たに「白米の」ご飯を炊きます。(目安として1合) 3.お茶碗にご飯をまぁるく山盛りになるように盛り付け、中央にお箸を立てます。(地方によっては茶碗の二倍の高さになる「大高盛」にて盛るべしという説もあります)   ※ 全国的にこの「枕ご飯」は「白米」であることがほとんどかと思いますが、一部地域よっては「玄米」を炊く風習の地域もあります。 ※ お箸は可能であれば故人の愛用されていたお箸を使いましょう。  

「枕ご飯」を炊く意味について

諸説ありますが、いくつかご紹介させて頂きます。   1.冥土の旅に向けての「ご馳走(お弁当)」という説 2.食物は人の肉体を養うのであれば、魂も食物を供することにより養うという説。であるから魂の形と同じく丸く盛らねばならないという説。 3.昔は「白米」はとても貴重であった為、故人のために貴重な白米を炊いたという説  

ご飯にお箸を立てるのはなぜ?

こちらも諸説あります。いくつかご紹介させて頂きます。 1.お箸を立てることは、お線香を一本供えることと同じく、まっすぐ浄土(天)に向かって欲しいという願いが込められているという説 2.故人に捧げる貴重なご飯であるため、お箸を立てることにより他の人には分配しないという説 3.お箸を互い違いに立てるのは、突然のことで驚き、慌ててしまった様を表しているという説  

その他、「枕ご飯」周辺のお膳に並べるものについて

1.味噌と塩のお供えについて

新宮市や那智勝浦町周辺の葬儀の場では、写真のように「枕ご飯」のみならず、 別途、お皿の上に「味噌と塩」を盛ります。こちらは全国的にも珍しい風習のようで、当地方以外では数箇所、同じような風習がある地域を除いて 全国的にはあまり耳にしない習わしのようです。 この「味噌と塩」について、地域のお寺様などに昔教わったお話を情報の一つとしてご紹介させて頂きます。 味噌は、仏飯(枕ご飯)の「おかず」として供えられるようです。昔は味噌も米と同じく貴重な品であったので、枕ご飯とともに「ご馳走」としてお供えされた風習が現代においても残っているということでした。お塩についても、ご飯にお塩(塩分)はつきものという考え方のようです。  

2.浄水と樒の葉について

白木のお膳の上に、枕ご飯や味噌と塩のお皿と共に「浄水」と言われるお水をお供えします。 ガラスのコップなどにお水を入れ、その上に樒の葉を一枚浮かべてお供えします。 仏様にお供えする「浄水」は「閼伽(あか)」といい、梵語の「アルガ」を音写したものになります。「功徳水」という意味になり、 仏様に「閼伽」を御給仕するように、亡くなった人にも「浄水」をお供えするというところから来ています。 また、樒の葉を一枚浮かべる理由は「末期の水」といって故人の唇にお水を捧げる作法があるのですが、これに用いられるものとされています。 とはいえ、実際の葬儀の場では、「末期の水」の為のお水や道具はこちらの「浄水」とは別途に用意されています。 こちらの「浄水」は宗派により「甘露水」とも呼ばれ、葬儀の際に樒の葉を使ってお水を少しずつ祭壇前にかけることでその周辺を清める為に用いられる事もあります。    

まとめ

1.「枕ご飯」は故人のために新たに炊きましょう。目安として一合です。 2.お茶碗やお箸は可能なら故人の愛用されていた品を用意しましょう 3.「枕ご飯」の他、「味噌と塩」、「浄水」と呼ばれるコップに水を入れ、樒の葉を一枚浮かべたものを用意します 4.枕ご飯や味噌と塩など、葬儀にまつわる故人に捧げる食物については全国各地で様々な説がありますが、統一した考え方としては 「昔は貴重な品だったものを故人の旅路の際、食べものに困らないように」という送る人の思いが込められたものが基本的な考え方になっていると言えるでしょう。     本日は以上です。 家族葬や仏事に関する疑問や質問もお気軽に中本葬祭までお問い合わせください。 中本葬祭 0735-52-4966

この記事の著者:(株)中本葬祭/専務取締役 中本 吉保