ご家族やご親族など、大切な方を亡くされたとき、深い悲しみと向き合うことになります。頭ではご不幸を受け入れていても、心が追いつかず、眠れない日が続いたり、食事がのどを通らなかったりすることもあるでしょう。こうした死別による深い悲しみを「グリーフ」と呼び、そのお気持ちに寄り添い、少しずつ前に進むためのお手伝いを「グリーフケア」といいます。この記事では、グリーフケアの基本的な知識から、新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町でのご対応まで、中本葬祭の経験をもとにご案内します。
グリーフとグリーフケアの基本知識
グリーフ(英語:grief)とは、死別・後悔・絶望などによって受ける悲嘆や悲痛のことを指します。愛する人と死別した際の悲しみは、心だけでなく身体にもさまざまな影響を及ぼすことが知られています。
グリーフを経験されるご遺族には、孤独感や絶望感、不安を引き起こし、睡眠障害や食欲喪失、体力低下など、身体的な症状が現れたり、日常生活や行動パターンが変わったりすることがあります。新宮市で年間300件以上の葬儀を手掛けてきた中本葬祭では、葬儀後に「食事ができない」「夜中に突然目が覚めてしまう」「誰かと話すのがつらい」といったお声を多くいただいてきました。
死別を経験しグリーフに陥り、突然不慣れな環境におしこまれた時に、じっくりと繰り言を傾聴してくれる人、さりげなく寄りそうサポート・ケアは大変心強いものです。このように、大切な方を亡くしたり、ペットロスで悲しんだりしている方のケアやサポートをすることを「グリーフケア」と呼びます。
グリーフケアが広く認知されるようになったきっかけは、2005年に起きた「福知山線脱線事故」で、その後2011年の東日本大震災を機に広く知られるようになりました。医療や介護、葬儀の分野でも、ご遺族の心に寄り添うケアの重要性が認識されています。
グリーフケアの基本的な考え方は、グリーフ(悲嘆)の感情や行動を否定せず、受け入れることにあります。無理に元気を出そうとしたり、悲しみを押し込めたりすることは、かえって回復を遅らせることがあると言われています。
死別による悲しみのプロセス
死別の悲しみには、回復に向けたプロセスがあることが知られています。グリーフケアを受けることによって、遺族は「ショック期」「喪失期」「閉じこもり期」「再生期」の4段階のプロセスを経て、少しずつ回復へ向かいます。
ショック期では、大切な方がお亡くなりになった事実を受け止めきれず、呆然としたり、現実感がなかったりすることがあります。新宮市や那智勝浦町でご葬儀を執り行う際、中本葬祭では多くのご遺族が「まだ実感がない」とおっしゃる姿を拝見してきました。
葬儀後のあわただしさがひと段落したころに襲ってくることが多いのが喪失期です。故人様がいない日常が始まり、孤独感や寂しさが深まります。閉じこもり期には、生きがいややりがいを見出せず、外出や人と会うことを避けたくなることもあるでしょう。
そして再生期を迎えると、少しずつ「故人はもう戻ってこない」という現実を受け入れ、新しい生活に適応していく力が湧いてきます。この4つのプロセスが必ずしも順序立てて進むわけではない点に注意が必要です。各プロセスを行き来したり、回復と後退を繰り返しながら進行することもあります。
死別者が悲嘆から立ち直るまでの期間は平均で4年半だと言われていますが、これはあくまで目安であり、個人差が大きいものです。故人様との関係性、お亡くなりになった状況、ご本人の性格などによって、回復までの時間は大きく異なります。
当地域では菩提寺をお持ちのご家庭が多く、初七日、四十九日、一周忌、三回忌といった法要が定期的に営まれます。法事・法要は宗教的な儀礼であると同時に、一定の期間をおいて故人を思い出させ、遺族たちの心の負担を軽減させるひとつの仕組みでもあるのです。
グリーフケアの具体的な方法
グリーフケアには、ご自身でできることと、周囲の方や専門家のサポートを受ける方法があります。ご自分のペースで、無理なく取り組むことが大切です。
感情を表現する
悲しみだけでなく、不安や怒り、後悔など、さまざまな感情を言葉にして表現することで、心の整理が徐々に進みます。泣きたいときは泣き、話したいときは話す。そうした素直な感情表現が、回復への第一歩となります。
新宮市や那智勝浦町では地域のつながりが深く、近所の方やご親戚が集まって故人様の思い出を語り合う機会が自然とあります。同じ気持ちを共有できる人と話をすることで、軽くなる場合があります。配偶者を亡くされた場合はご親戚と、ご両親を亡くされた場合はご兄弟と、思い出を分かち合うことで、少しずつ心が整理されていくのです。
葬儀やお墓参りを大切にする
葬儀が最初のグリーフケアにあたります。故人としっかり別れの場を設けることは、残された遺族が死を受け入れるための重要な儀式です。中本葬祭では、ご遺族が「やってあげられた」と感じられるご葬儀をお手伝いすることを大切にしています。
お墓や仏壇を用意することで故人との会話をする場をつくることができます。当地域では、お墓参りや仏壇への手合わせが日常に根付いています。故人様のご位牌に手を合わせ、近況を報告したり、悩みを打ち明けたりすることは、グリーフケアの一つの形です。
専門家に相談する
もし、支援することが難しいと感じた場合は、グリーフケアのカウンセラーにお願いすることもできます。死別を経験した人がすべてグリーフケアを必要というわけではありませんが、悲しみや喪失感が長期化し、日常生活に支障をきたす場合は、専門家によるグリーフケアが必要となる場合があります。
大都市圏では、グリーフケア外来や遺族会、電話相談窓口などが設けられています。熊野地域にお住まいの場合、お近くの保健所や心療内科にご相談されることもできます。
日常生活のリズムを少しずつ取り戻す
無理のない範囲で、食事や睡眠などの生活リズムを整えること、散歩や趣味など気分転換になることを少しずつ取り入れることも、回復の助けになります。ただし、悲しみを乗り越えるためには、ある程度の間、しっかりと悲しむ時間を過ごす必要があります。焦らず、ご自分のペースで進めることが何より大切です。
新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町での地域特性とグリーフケア
新宮市、那智勝浦町、太地町、そして三重県紀宝町は、熊野川を挟んで一体の生活圏・文化圏を形成しています。地域のつながりが深く、ご不幸があった際には区長や組長、ご近所の方々が自然とお手伝いに来てくださる文化が今も残っています。
こうした地域のつながりは、実はグリーフケアの観点からも大変意味のあるものです。葬儀の準備や片付けを通じて人と関わり、思い出を語り合うことで、ご遺族の心が少しずつ整理されていきます。中本葬祭が創業以来、地域密着で葬儀に携わってきた中で、こうした地域の力を何度も目にしてきました。
当地域では菩提寺をお持ちのご家庭が多く、家族葬であっても菩提寺のご住職に読経をお願いするのが一般的です。お坊様との会話やご法要を通じて、故人様を偲び、心を整理する機会が自然と設けられます。四十九日、百箇日、一周忌、三回忌と、節目ごとにご供養を営むことは、ご遺族の心のケアにもつながっています。
一方で、核家族化や人間関係の希薄化は当地域でも少しずつ進んでいます。「誰にも話せない」「一人で抱えている」と感じるご遺族もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、葬儀社にお声がけいただくことも一つの方法です。中本葬祭では、葬儀後のご相談にも可能な限り対応させていただいております。
また、新宮市では地域包括支援センターや保健所が、こころの健康相談を行っています。必要に応じて、こうした公的な相談窓口もご活用ください。
よくある質問
グリーフケアは誰でも必要ですか?
すべての方にグリーフケアが必要というわけではありません。悲しみの感じ方や回復の過程は人それぞれです。ただし、不眠や食欲不振が続く、日常生活に支障が出ている場合は、専門家への相談をご検討ください。
死別の悲しみはいつまで続きますか?
個人差が大きく、数か月で回復される方もいれば、数年かかる方もいらっしゃいます。一般的には平均4年半程度と言われていますが、これはあくまで目安です。焦らず、ご自分のペースで向き合うことが大切です。
家族葬でもグリーフケアの効果はありますか?
家族葬でも、故人様としっかりお別れをし、ご遺族が「やってあげられた」と感じられる葬儀であれば、グリーフケアの効果があります。当地域では家族葬でも菩提寺のご住職に読経をお願いし、丁寧にお見送りされるご家庭が多くあります。
グリーフケアのための相談窓口はありますか?
大都市圏にはグリーフケア外来や遺族会がありますが、新宮市周辺では保健所の心の健康相談や、心療内科・精神科でのカウンセリングをご利用いただけます。また、葬儀社や菩提寺のご住職にご相談されることも一つの方法です。
悲しみを我慢しないほうがいいのですか?
はい。無理に感情を抑え込むと、かえって回復が遅れることがあると言われています。泣きたいときは泣き、つらい気持ちを信頼できる方に話すことで、少しずつ心が整理されていきます。
まとめ
グリーフケアとは、大切な方との死別による深い悲しみに寄り添い、少しずつ心の回復をお手伝いすることです。悲しみのプロセスには個人差があり、焦らず、ご自分のペースで向き合うことが何より大切です。
新宮市、那智勝浦町、太地町、三重県紀宝町という熊野地域には、地域のつながりや菩提寺との関係、法要の文化など、自然とグリーフケアにつながる仕組みが根付いています。一方で、誰にも話せず一人で抱え込んでしまう方もいらっしゃいます。そのような場合は、遠慮なく周囲の方や専門家、葬儀社にお声がけください。
悲しみを乗り越えることは、故人様を忘れることではありません。故人様との思い出を大切に心に抱きながら、少しずつ新しい生活に適応していくことです。時間はかかるかもしれませんが、いつかきっと笑顔で故人様のお話ができる日が来ると信じています。
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中本葬祭は、新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町に6つの葬儀会場を備え、ご家族の状況に合わせた葬儀をご案内しています。お急ぎの場合は、24時間つながるフリーダイヤルへご連絡ください。
この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
