財布や引き出しを整理していて、故人の運転免許証が出てきた。このまま持っていていいのか、警察へ持って行かないといけないのか。葬儀のあと、ふと手が止まるのがこの一枚です。この記事では、ご遺族に返納の義務があるのかどうか、返納するならどこへ何を持って行くのか、形見として残したいときに何を尋ねておくかを、三重県警察と和歌山県警察の案内、道路交通法の条文に沿って整理します。
ご遺族に返納の義務はありません
三重県警察は、運転免許証を持っていた方が亡くなった場合について「ご遺族の方に運転免許証を返納していただく義務はありません」と案内しています。
「免許証は速やかに返納しなければならない」という決まりを耳にした方もいるかもしれません。これは道路交通法第106条の3の規定で、対象は免許証を持っている本人です。免許が取り消されたとき、失効したとき、有効期間が満了したときなどに、本人が住所地の公安委員会へ返すよう定めたもので、ご遺族に期限を課す条文ではありません。
では、何のために返納するのか。三重県警察の案内によれば、有効期限がまだ残っている免許証には、更新手続きのお知らせはがき等が届きます。故人宛てのはがきが届くのを止めたいときに、返納の手続きをする、という位置づけです。
葬儀を担う立場から言えば、ご葬儀の直後に急いで警察へ行く必要はありません。年金や健康保険など、期限が決められている手続きを先に済ませ、落ち着いてから考えても間に合います。
返納するときに持って行くもの
三重県警察が挙げている持ち物は、次の3つです。
| 持ち物 | 注意点 |
|---|---|
| 亡くなった方の運転免許証、またはマイナ免許証 | 免許証とマイナ免許証の「2枚持ち」だった方は、両方を持参 |
| 亡くなったことを証する書類 | 案内には「死亡診断書の写し等」とあります |
| 窓口へ行く方の本人確認書類 | 運転免許証など |
マイナ免許証は、マイナンバーカードに免許の情報を記録したものです(道路交通法では「免許情報記録個人番号カード」と呼んでいます)。カードだけを見ても免許が入っているかは分かりにくいので、故人がマイナンバーカードに免許を記録していたかどうかを、返納の前に確かめておいてください。
ここに書いたのは三重県警察の案内です。和歌山県警察のホームページには、亡くなった方の免許証についての案内が見当たりません。和歌山県にお住まいだった方の場合は、同じ書類でよいと決めつけず、出向く前に電話で尋ねるのが確実です。
手続きの場所と受付時間
三重県警察は、受付場所を「運転免許センター」と「住所地を管轄する警察署」の2つとしています。受付時間は平日だけで、運転免許センターは午前8時30分から11時30分と午後1時から4時、警察署は午前8時30分から午後4時です。土日・祝日・年末年始は受け付けていません。
この地域で最初に電話する先は、故人のお住まいによって分かれます。所在地と電話番号は、各県警察のホームページで確かめたものです。
| 故人のお住まい | 問い合わせ先 | 所在地・電話 |
|---|---|---|
| 新宮市・那智勝浦町・太地町 | 新宮警察署 | 新宮市新宮2330番地の9 0735-21-0110 |
| 新宮市・那智勝浦町・太地町 | 新宮運転免許センター | 新宮市三輪崎1148番地の4 0735-31-7771 |
| 紀宝町 | 紀宝警察署 | 南牟婁郡紀宝町鵜殿1709-2 0735-33-0110 |
新宮警察署の管轄は、新宮市・那智勝浦町・太地町のほか、北山村、田辺市本宮町、串本町、古座川町です。三重県運転免許センターは津市垂水にあり、紀宝町からは遠いので、紀宝町の方はまず紀宝警察署へ電話して、そこで受け付けてもらえるかを確認するのが近道です。
和歌山県警察の「運転免許の自主返納」のページにも新宮運転免許センターや警察署の受付時間が載っていますが、これは免許を持つ本人(または委任を受けた代理人)が、有効期間内の免許を返すための手続きです。亡くなった方の免許証の手続きとは別ものなので、その時間に合わせて出向くのではなく、電話で受付の曜日と時間を聞いてください。交番や駐在所で受け付けてもらえるかどうかも、同じ電話で尋ねておけば二度手間になりません。
形見として手元に残したいとき
写真の入った免許証は、故人の顔がはっきり写った数少ない一枚でもあります。返納せずにそのまま持っておくこともできますし、返納したうえで手元に戻してもらえないか相談する方法もあります。
ただし、返納した免許証を穴あけなどで使えなくして返してもらえるかどうかは、三重県警察・和歌山県警察のどちらの案内にも書かれていません。「戻ってくるはず」と思って出向くと、思っていた扱いと違うこともあり得ます。返納の電話をかけるときに、次のことを一緒に尋ねておくと安心です。
- 亡くなった方の免許証の返納を、その窓口で受け付けているか
- 受付の曜日と時間
- 必要な書類(死亡を証する書類は写しでよいか、マイナ免許証も要るか)
- 返納したあと、免許証を形見として持ち帰れるか
- 手数料がかかるか
返納しないで残す場合は、顔写真付きの証明書として使われてきたものですから、ほかの遺品と混ぜずに、しまう場所を決めておくとよいでしょう。
よくある質問
亡くなった家族の運転免許証は、いつまでに返納すればよいですか?
ご遺族に返納の義務はないので、期限もありません。道路交通法の「速やかに返納」という規定は、免許が取り消された・失効したときなどに免許証を持つ本人が守るものです。更新のお知らせを止めたいときに、落ち着いてから手続きしてください。
返納しないままだと、遺族が罰せられますか?
ご遺族に返納の義務はないため、返納しなかったことでご遺族が罰を受ける定めはありません。道路交通法の返納の義務と、それに違反したときの罰則は、免許証を持つ本人を対象にしたものです。
マイナ免許証だった場合は、何を持って行けばよいですか?
三重県警察の案内では、マイナ免許証を持参します。免許証とマイナ免許証の2枚持ちだった方は、両方が必要です。和歌山県にお住まいだった方は、出向く前に窓口へ電話で確認してください。
返納した免許証を形見として返してもらえますか?
三重県警察・和歌山県警察の案内には、返納した免許証を返すかどうかの記載がありません。返納の前に、窓口へ電話で尋ねてください。
確認に使った公式情報
- 三重県警察「運転免許証の返納(亡くなられた場合)」
- 三重県警察「警察署」
- 三重県警察「運転免許センター及び交通安全研修センターの案内」
- 和歌山県警察「運転免許の自主返納(申請取消)」(本人による返納の案内)
- 和歌山県警察「交通センター・運転免許試験場情報一覧」
- 和歌山県警察「新宮警察署」
- e-Gov法令検索「道路交通法」第106条の3
受付時間や必要書類は変わることがあります。出向く前に、窓口へ電話で確かめてください。
免許証のほかに残っている手続きも、まとめて相談できます
運転免許証は急がなくてよい手続きですが、年金、健康保険、マイナンバーカードなど、葬儀のあとに確かめることは一つではありません。何から手をつければよいか分からないときは、私たち中本葬祭にお尋ねください。ご家族がお元気なうちに、葬儀の流れやその後の手続きまでを聞いておける事前相談も受け付けています。
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中本葬祭は、新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町に6つの葬儀会場を備えています。葬儀のあとの手続きで迷われたときも、お電話や公式LINEでお尋ねください。お急ぎの場合は24時間つながるフリーダイヤルへご連絡いただけます。
この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
