中本葬祭ブログ

葬祭費は相続税の対象になる?後期高齢者医療・国保の給付金の扱い

葬祭費の給付と相続税の書類を落ち着いて整理する机のイメージ画像

国民健康保険や後期高齢者医療制度から葬祭費を受け取ったとき、「故人に関係するお金なので相続財産に含まれるのか」「相続税の申告に加えるのか」と迷うことがあります。

結論からいうと、制度に基づいて葬祭を行った方へ支給される葬祭費は、故人が生前に持っていた財産を相続するものではなく、相続税の課税対象となる相続財産には含めません。国民健康保険法と高齢者の医療の確保に関する法律には、保険給付として受け取った金品を基準に租税その他の公課を課すことができない旨が定められています。

この記事は2026年9月21日時点の法令と公的情報に基づく一般的な説明です。加入制度、給付の名称、受取人、葬儀費用を負担した方、遺産分割の状況によって確認事項は変わります。個別の相続税申告や税額は、所轄税務署または税理士へご確認ください。

葬祭費は「故人の財産を受け継ぐお金」ではありません

葬祭費は、被保険者が亡くなったことに伴い、加入していた国民健康保険や後期高齢者医療制度から支給される保険給付です。新宮市の公式案内では、国民健康保険、後期高齢者医療制度ともに「葬祭を行った方」へ葬祭費3万円を支給するとしています。

つまり、故人名義の預貯金や土地のように、死亡時に故人が所有していた財産を相続人が受け継ぐ仕組みとは異なります。相続人かどうかだけで受け取るのではなく、制度上の要件を満たす葬祭執行者へ支給されます。

申請窓口、必要書類、支給額、加入制度による違いは、葬儀費用の補助金制度とはで整理しています。この記事では、申請方法ではなく相続税上の位置づけに絞ってご説明します。

国保と後期高齢者医療には給付と非課税の規定があります

葬祭費の根拠となる制度を分けると、次のようになります。

加入制度葬祭に関する給付税に関する規定
国民健康保険国民健康保険法58条に葬祭に関する給付同法68条に保険給付への課税を制限する規定
後期高齢者医療高齢者医療確保法86条に葬祭に関する給付同法63条に保険給付への課税を制限する規定
健康保険健康保険法100条などに埋葬料等同法62条に保険給付への課税を制限する規定

ここでいう「課税されない」という説明と、誰がどの要件で申請できるかは別の問題です。支給対象者、金額、必要書類は加入制度と自治体等の案内で確認してください。新宮市で国民健康保険の葬祭費を申請する流れは、新宮市の葬祭費申請ガイドでも確認できます。

葬祭費と、相続財産から控除する葬式費用は別です

混同しやすいのが、受け取る「葬祭費」と、相続税を計算するときに遺産総額から差し引く「葬式費用」です。名前は似ていますが、判定する対象が異なります。

項目何を判定するか主な確認先
葬祭費・埋葬料等公的医療保険から受け取る給付金の扱い加入していた保険者、自治体
相続税の葬式費用負担した葬儀関連費用を遺産総額から差し引けるか国税庁、税務署、税理士

国税庁のタックスアンサーNo.4129は、相続税の計算上、葬式や葬送に際して通常必要となる費用などを遺産総額から差し引けると案内しています。一方、香典返し、墓石や墓地の購入、初七日や法事などの費用は、葬式費用として差し引けないものに挙げられています。

「葬祭費を受け取ったから、支払った葬式費用を同額だけ自動的に減らす」と自己判断したり、反対に「給付金が非課税だから葬儀関係の支出はすべて控除できる」と考えたりしないでください。葬式費用として差し引けるかは、支出の内容、実際に負担した方、相続税の申告上の立場などを個別に確認します。基本的な区分は、相続税で控除できる葬儀費用も参考にしてください。

受給後は、決定通知と領収書を分けて保管します

申請から相続税申告までに確認しやすいよう、書類は次の順で整理します。

  1. 故人が加入していた制度を確認する
    国民健康保険、後期高齢者医療、勤務先の健康保険など、死亡時の加入先を確認します。
  2. 葬祭費等の申請書類を一つにまとめる
    申請書、葬儀を行ったことが分かる書類、振込先、支給決定通知などを保管します。
  3. 葬儀費用の領収書を支出別に分ける
    葬儀社、火葬、寺院等への支払い、会食、返礼品、墓地・墓石、法要などを混在させず整理します。
  4. 申告が必要な場合は専門家へ確認する
    誰が費用を負担したか、どの支出を差し引けるかを税務署または税理士へ確認します。

相続税の申告期限や全体の確認順は、相続税申告の期限と準備もご覧ください。申告期限の有無は遺産額や家族構成などで変わるため、葬祭費だけを見て判断しません。

よくある質問

葬祭費が家族の口座へ振り込まれたら相続財産になりますか

葬祭を行った方へ制度に基づいて支給される葬祭費は、故人が死亡時に持っていた財産を相続するものではありません。振込先が家族名義であることだけを理由に、故人の相続財産へ加える給付ではありません。

国保と後期高齢者医療で相続税の扱いは違いますか

いずれも法令に葬祭に関する給付と、保険給付を基準とする課税を制限する規定があります。ただし、申請者、支給額、必要書類は制度や自治体で異なるため、加入先の案内を確認してください。

葬祭費を受け取ると、控除できる葬式費用は減りますか

葬祭費という給付金の扱いと、相続税で葬式費用を遺産総額から差し引けるかは別の判定です。支出の内容や負担者によって扱いが変わるため、受給額を一律に足し引きせず、税務署または税理士へ確認してください。

葬祭費の申請期限はどこで確認できますか

故人が加入していた保険者の公式案内または窓口で確認してください。申請期限を過ぎると受給できない場合があるため、葬儀後の手続き一覧に記録し、必要書類とあわせて早めに確認します。

給付金と葬式費用を分けて整理します

国民健康保険や後期高齢者医療の葬祭費は、葬祭を行った方へ制度に基づいて支給される保険給付であり、故人の相続財産として相続税を計算するお金ではありません。一方、実際に支払った葬式費用を遺産総額から差し引けるかは、別の基準で判断します。

葬祭費の申請や葬儀後の書類整理について事前に確認したい場合は、中本葬祭の資料請求・お問い合わせから事前相談をご利用ください。個別の税務判断は行わず、必要な書類と確認先を整理するお手伝いをします。

出典

出典確認日:2026年9月21日

この記事の監修

中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター

平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。

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