新宮市周辺では、かつてお寺で葬儀を終え、墓地へ出発する前に右回り、つまり時計回りに3回まわる習わしがありました。これは現在の葬儀で行う作法ではなく、火葬、葬儀、納骨を一日で終えていた頃の一場面です。
また、現在はこの風習は残っておりませんのでかつてこんな習慣もあったんだという情報に留めていただければと思います。
右回りに3回まわるのは墓地へ出発する前でした
この習わしが行われたのは、お寺での葬儀を終え、「これから墓地へ向かう」という場面です。まわる向きは右回り、回数は3回です。左回りではありません。
ただし、現在も行われている作法として案内するものではありません。いまの葬儀で準備したり、参列者がまねたりする必要はありません。
地域の葬儀全体の変化は、新宮市・那智勝浦町周辺の葬儀風習でも紹介しています。この記事では、その中でも「墓地へ向かう前に右回りに3回まわる」という一場面だけに焦点を当てます。
昔は出棺から納骨までを一日で終える形がありました
この作法は、単独で行われていたのではなく、骨葬と当日納骨を含む一日の流れの中にありました。私たちが見てきた当時の流れを整理すると、次のとおりです。
| 時間・場面 | かつての流れ | 現在との違い |
|---|---|---|
| 朝 | 出棺し、火葬場へ向かう | 現在は葬儀後に火葬する形も増えている |
| 午後 | お骨の状態で葬儀・告別式を行う | 現在も火葬を先にする場合はあるが、順序は一つではない |
| 墓地へ出発する前 | お寺での葬儀後、右回りに3回まわる | 現在は行われていない過去の習わし |
| 葬儀終了後 | その日のうちに墓地へ行き、納骨する | 現在は当日納骨がほぼ行われなくなった |
つまり、右回りに3回まわる作法は「葬儀会場で行う独立した儀式」ではなく、お寺での葬儀から墓地へ移る節目にあった習わしです。昔の一日の流れから切り離して紹介すると、今も同じ場面で行う必要があるように見えるため注意が必要です。
この地域の納骨方法については、新宮市周辺でさらしの袋に遺骨を納める地域慣習でも説明しています。右回りの習わしは過去の移動作法、さらしの袋は現在の地域で確認されている納骨方法であり、同じものではありません。
由来は確認できておらず、推測で意味を付けません
この習わしの由来について、寺院、自治体、宗派公式などの外部一次資料では確認できていません。私たちが伝え聞いている説明もありますが、確定した由来ではなく、他の地域にも似た話があったとされています。
そのため、この記事では「3回に宗教上の決まった意味がある」「右回りでなければならない理由がある」といった説明はしません。土葬の頃にさかのぼる習わしとして伝え聞いている、という範囲に留めます。
地域の由来や言い伝えには諸説があり、一つの説を事実として断定すると、別の伝承やご家庭の考えを否定することになります。確認できない部分を物語で埋めるより、記録を残すことを優先します。
現在の葬儀で行う必要はありません
現在、この習わしは残っていません。葬儀式場で右回りに3回まわる準備をしたり、墓地へ向かう前に参列者が同じ動きをしたりする必要はありません。昔の作法を行わないことが、地域の伝統を軽んじることにもなりません。
現在のこの地域では、葬儀のあとに火葬する形と、先に火葬してお骨で葬儀を行う骨葬の両方があります。どちらが正しいというものではなく、ご家族の意向、菩提寺、火葬場、会場の予定を確認して決めます。
同じように、出棺で故人の茶碗を割る風習も、この地域では現在ほとんど行われなくなっています。過去の習わしを知ることと、いま実行することは分けて考えられます。
ご親族から昔の作法を聞いたときの確認順
葬儀の準備中に「昔は3回まわった」と聞いた場合も、すぐに再現すると決める必要はありません。次の順番で確認します。
- どの場面の話かを確かめる
お寺での葬儀後なのか、出棺時なのか、墓地の入口なのかを尋ねます。似た昔話を混同しないためです。 - 過去の記憶か、今回の希望かを分ける
「昔はそうだった」という思い出と、「今回も行いたい」という希望は同じではありません。 - 菩提寺と葬儀社へ事前に伝える
宗教上必要な作法だと決めつけず、現在の進行や会場で対応できるかを確認します。 - ご家族の意向を優先して決める
行わないことに引け目を感じる必要はありません。ご家族がどのように見送りたいかを基準にします。
遠方から戻るご家族は、昔の順序を知らないまま日程だけを聞くと戸惑うことがあります。到着と火葬の順番を先に確認したい場合は、親が新宮市周辺で亡くなったときに遠方の子がすることもご覧ください。
よくある質問
現在も墓地へ向かう前に3回まわりますか
いいえ。現在は行われていない過去の習わしです。いまの葬儀で準備したり、参列者が行ったりする必要はありません。
まわる向きは右回りですか
記録では、右回り、つまり時計回りに3回です。左回りではありません。ただし、これは現在の作法を案内するものではなく、過去の記録です。
宗派やお寺で決められた儀式ですか
宗派公式や寺院の一次資料では確認できておらず、宗教上の必須儀礼とは断定できません。土葬の頃にさかのぼる地域の習わしとして伝え聞いている範囲に留めます。
家族が昔の作法を行いたい場合はどうしますか
まず、どの場面で何を行いたいのかを整理し、菩提寺と葬儀社へ事前に相談してください。現在の会場や進行に合うかを確認し、最終的にはご家族の意向を優先します。
昔の記録と現在の作法を分けて伝えます
新宮市周辺では、かつてお寺での葬儀を終え、墓地へ向かう前に右回りに3回まわる習わしがありました。これは、火葬、葬儀、納骨を一日で終える流れの中にあった過去の一場面で、現在の葬儀で行う必要はありません。
ご親族から聞いた昔の作法と、現在の葬儀で必要な準備をどう分ければよいか迷う場合は、中本葬祭の資料請求・お問い合わせから事前相談ください。地域の記録を押し付けず、ご家族の希望と現在の進行を一緒に整理します。
出典
- 中本葬祭「地域の慣習」代表確認記録(骨葬、当日納骨、右回りに3回まわる習わし。2026年9月7日確認、社内資料)
- 和歌山県新宮市「火葬」
https://www.city.shingu.lg.jp/info/208 - 中本葬祭「熊野の葬儀風習を解説」
https://nakamoto.jp/osousiki-qa/kumano-sogi-fushu/
出典確認日:2026年9月20日
この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
