一周忌や三回忌、七回忌などが同じ年に重なると、法要を別々に営むべきか、一緒にしてよいか迷うことがあります。複数の年回法要を合わせて営むことを「併修」と呼ぶ場合がありますが、すべての宗派や寺院で同じ決め方をするわけではありません。
まず故人ごとの命日と回忌を整理し、菩提寺へ相談してから、家族の日程、会場、案内方法を決めます。負担を減らすことだけを先に考えず、それぞれの故人をどのように偲びたいかも家族で確認することが大切です。
年回忌が重なったら、最初に菩提寺へ相談します
結論からいうと、同じ年に複数の年回忌が重なった場合、併修を選べることがあります。ただし、「同じ年だから必ず一緒にできる」「命日に近い土日なら自由に決めてよい」と一律には判断できません。
曹洞宗の公式案内では、年回法要の日取りや年回忌が重なった場合の考え方を示したうえで、菩提寺とよく相談するよう案内しています。浄土宗の公式年回表にも、内容が地域によって異なる場合があるとの注意があります。
これらは、宗派や地域によって考え方が違うことを示す例です。ご家庭の法要では、故人がお世話になった寺院、現在の菩提寺、納骨先の寺院へ確認してください。菩提寺が分からない場合や無宗教で見送った場合は、家族で供養の形を話し合い、必要に応じて葬儀社や納骨先へ相談します。
併修と繰り上げ法要は別の考え方です
併修は、複数の故人または複数の年回法要を一つの機会に合わせて営むことを指します。一方、繰り上げ法要は、初七日など本来は後日に営む法要を、葬儀当日などへ繰り上げて営む考え方です。
言葉が似ていても、相談する内容は異なります。寺院へ連絡するときは、「誰の、何回忌と何回忌が同じ年に当たるのか」「一緒に営むことを検討している」と具体的に伝えると、認識のずれを防げます。
回忌の数え方を確認したい方は、七回忌はいつ行う|数え方と家族だけで営む場合の準備も参考にしてください。年回法要は、亡くなってからの経過年数と「何回忌」という呼び方が一いたしない場合があります。
併修を相談する前に故人ごとの情報を一枚に整理します
寺院へ相談する前に、次の情報を故人ごとに分けて書き出します。
- 故人の氏名
- 命日
- 戒名または法名。分からなければ俗名
- 今回迎える回忌
- 納骨先
- これまで法要を依頼した寺院
- 連絡したい家族、親族
- 家族が別々の法要を希望しているか
過去帳、位牌、法要の案内状、寺院から届いた年回表などがあれば、表記を照合します。推測で回忌を決めず、分からない点は寺院へ確認してください。
故人の命日の意味や、祥月命日と月命日の違いは、命日とは|祥月命日と月命日の違い・供養の考え方で整理しています。
日程は寺院、家族、会場の順に候補を絞ります
家族だけで日を確定してから寺院へ依頼すると、寺院の行事やほかの法要と重なり、日程を組み直すことがあります。まず寺院へ、併修が可能か、どの故人の命日を基準に考えるか、避けたほうがよい組み合わせがあるかを確認します。
そのうえで、次の順に調整します。
- 寺院へ併修の可否と日程候補を確認する
- 施主を誰が務めるか家族で決める
- 参列してほしい人の予定を確認する
- 自宅、寺院、会館など会場を決める
- 会食の有無と移動時間を確認する
- 案内する日を決める
曹洞宗の公式案内には、祥月命日より前に営む考え方や、複数の年回を合わせる際の例が示されています。ただし、これはすべての宗派に共通する規則ではありません。「法要は必ず命日前」「新しい方の命日に必ず合わせる」と一般化せず、菩提寺の案内を優先してください。
一周忌や家族の気持ちは機械的にまとめません
併修を検討できる場合でも、年回の組み合わせだけで決めないことが大切です。亡くなってから日が浅い故人の法要は、ご家族にとって意味の大きい機会です。別々に営みたい人がいるときは、移動や費用の負担だけを理由に一つへまとめないようにします。
例えば、次のような場合は、寺院と家族へ丁寧に確認します。
- 一周忌と、それより前に亡くなった方の年回忌が重なる
- 故人ごとに宗派や菩提寺が異なる
- 納骨先が異なる
- 施主を務める家族が別々にいる
- どちらかの故人について個別の法要を希望する人がいる
- 高齢の家族や遠方の親族に移動の負担がある
別々に営むか、同じ日に時間を分けるか、一つの法要として営むかは、いずれも相談の対象です。家族の事情を率直に伝え、寺院から示された方法を家族全員へ共有します。
お布施、お供え、塔婆、会食は項目ごとに確認します
法要を一緒にしても、準備するものがすべて一つになるとは限りません。寺院や地域、ご家庭によって扱いが異なるため、次の項目を個別に確認します。
- 読経や法要の進め方
- お布施の包み方と渡す時期
- 塔婆を立てるか、故人ごとに必要か
- 位牌や遺影をどのように整えるか
- お供えを故人ごとに分けるか
- 会食を行うか
- 返礼品を用意するか
- 寺院が会食を辞退した場合の対応
お布施は「二人分だから単純に二倍」「一度だから一人分」と決めつけず、菩提寺へ失礼のない形で尋ねます。金額だけでなく、お車代や御膳料を別に用意する必要があるかも確認してください。
中本葬祭では公式サイトで、法要や仏壇、墓石など葬儀後の相談にも対応していることをご案内しています。ただし、宗教儀礼の最終的な判断は菩提寺や宗教者へ確認する必要があります。
案内では二人分の法要であることを明確に伝えます
参列者へは、誰の何回忌を一緒に営むのかが分かるように伝えます。特別な事情がなければ、故人の氏名、回忌、日時、会場、会食の有無、出欠の返答期限を記載します。
例えば、家族への連絡は次のように簡潔にまとめられます。
「このたび、祖父の十三回忌と祖母の七回忌を同日に営むことになりました。日時と会場は次のとおりです。出席の可否を○月○日までにお知らせください」
これは書き方の一例です。寺院名、施主名、香典や供物の辞退、服装、送迎など、必要な情報だけを加えます。案内を受け取った人が「どちらか一人だけの法要」と誤解しないことが重要です。
当日は故人ごとに偲ぶ時間を設けます
一つの法要として営む場合も、故人それぞれの名前や思い出が分かるように準備します。宗教儀礼の進行は寺院へ任せ、家族側では遺影、思い出の品、会食での話題などを整理します。
ただし、祭壇や位牌、遺影の並べ方を家族だけで決めると、宗派の作法や会場の安全面に合わない場合があります。事前に寺院と会場へ確認してください。写真や思い出の品を飾りたい場合も、置ける場所、倒れにくい方法、持ち帰りの担当を決めておくと安心です。
よくある質問
年回忌が同じ年なら、必ず併修にできますか?
必ずではありません。宗派、寺院、回忌の組み合わせ、故人との関係、ご家庭の希望によって判断が異なります。命日と回忌を整理し、最初に菩提寺へ相談してください。
一周忌もほかの年回忌と一緒にできますか?
寺院によって考え方が異なります。曹洞宗の公式案内では、一周忌はほかの年回と合わせることを避けたほうがよいという考え方が示されていますが、すべての宗派へ一般化はできません。菩提寺と家族の意向を確認します。
併修の日は、どちらの命日に合わせますか?
一律の決まりとして扱わず、菩提寺へ確認します。宗派公式の案内に基準が示される場合もありますが、地域や寺院による違いがあります。家族だけで日を確定する前に相談してください。
お布施は故人二人分を用意しますか?
単純に人数分と決めることはできません。法要の内容、寺院との関係、お車代や御膳料の扱いも含め、菩提寺へ確認します。金額を推測せず、準備方法を率直に尋ねてください。
まとめ
年回忌が重なったときは、故人ごとの命日、戒名または法名、回忌、納骨先を整理し、最初に菩提寺へ相談します。併修ができる場合も、日程、施主、会場、案内、お布施、お供え、会食を項目ごとに確認してください。
負担を減らすためだけに機械的にまとめず、それぞれの故人をどう偲びたいか、家族の気持ちを確かめることが大切です。法要会場や葬儀後の準備については、中本葬祭の資料請求・お問い合わせからご相談いただけます。宗教儀礼については、菩提寺の案内を優先してご準備ください。
出典
確認日:2026年9月5日
- 曹洞宗 曹洞禅ネット「法事の営み方」
- https://www.sotozen-net.or.jp/ceremony/memorial/hoji
- 浄土宗公式サイト「中陰表・年回表」
- https://jodo.or.jp/tool/
- 家族葬のタクセル「併修とは?複数の法事をまとめて行うときのマナーや注意点を解説します」
- https://takusel.info/blog/manners/heishu.php
- 中本葬祭 公式サイト
- https://nakamoto.jp/
この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
