盲導犬、介助犬、聴導犬と生活する方が葬儀へ参列するとき、「犬を連れて会場へ入れるか」「どの席なら落ち着いて過ごせるか」と心配されることがあります。補助犬はペットではなく、身体障害者補助犬法に基づいて認定され、利用者の生活を支える犬です。
補助犬を利用者から離して待たせることを前提にせず、会場、席、移動、焼香時に必要な支援を本人へ確認します。事前に葬儀社へ連絡し、当日の担当者と情報を共有しておくと、急な説明や移動を減らせます。
補助犬は盲導犬・介助犬・聴導犬の3種類です
厚生労働省は、身体障害者補助犬を次の3種類としています。
- 盲導犬:視覚に障害がある方の歩行を支える
- 介助犬:肢体に障害がある方の日常生活動作を支える
- 聴導犬:聴覚に障害がある方へ必要な音を知らせる
いずれも身体障害者補助犬法に基づいて訓練・認定され、法に基づく表示を付けています。盲導犬は白色または黄色のハーネスが目印です。介助犬と聴導犬は、胴着などに種類を示す表示を付けています。
利用者は、盲導犬使用者証または身体障害者補助犬認定証や、健康管理に関する記録を携帯しています。補助犬かどうかの確認が必要な場合、施設側は認定証などの提示をお願いできます。ただし、参列者が到着するたびに複数のスタッフから同じ確認を繰り返さないよう、担当者間で共有する配慮が必要です。
補助犬を理由に会場利用から外さないことが基本です
厚生労働省は、不特定かつ多数の人が利用する民間施設を含め、身体障害者補助犬法に基づく補助犬の同伴受け入れが必要であると案内しています。「犬だから」という理由だけで、利用者に補助犬を会場外へ置くよう求めることは適切ではありません。
補助犬は、利用者の指示に従って待機できるよう訓練されています。補助犬がいることだけを理由に、一般の参列者と離れた場所へ一律に案内するのではなく、利用者本人が希望する席、補助犬の役割、出入口までの動線を確認します。
葬儀の形式や会場の造り、参列者数は毎回異なります。利用する会場が決まったら、中本葬祭の6会場を確認し、段差、通路、出入口、駐車位置など必要な条件を具体的に担当者へお伝えください。
事前連絡では当日の流れと必要な支援を共有します
事前連絡は、補助犬の同伴を許可してもらうためではなく、当日の移動や参列を円滑にするための情報共有です。利用者本人、または本人の希望を確認したご家族から、次の内容を伝えます。
- 参列する通夜または葬儀の日時と会場
- 盲導犬・介助犬・聴導犬のいずれか
- 車、タクシー、公共交通機関など来場方法
- 席の位置や通路幅についての希望
- 焼香や献花で必要な案内・支援
- 途中で休む場所や退出経路の希望
- 同行者の有無と、本人へ直接確認してほしいこと
障害の種類だけを聞いて支援方法を決めつけず、「どのような案内が必要ですか」「お席はどの位置がよいですか」と本人へ確認します。視覚、聴覚、肢体の状態や補助犬の仕事は一人ひとり異なります。
車いすも利用する方は、車いすで葬儀に参列するときの準備も参考にしてください。補助犬、車いす、杖などを併用する場合は、必要な条件をまとめて伝えると、席や動線を一緒に検討できます。
席は補助犬の仕事と避難動線を妨げない位置を相談します
「補助犬なら必ず最後列」「聴導犬なら必ず前列」と一律に決める必要はありません。利用者本人の希望と、補助犬が仕事をしやすい位置を確認します。
例えば、次の点を一緒に確認します。
- 椅子の横や足元に補助犬が安全に待機できるか
- 通路や非常口をふさがないか
- 他の参列者が補助犬の尾や足を踏むおそれがないか
- 司会や読経、案内音を聴導犬が把握しやすいか
- 盲導犬利用者が出入口や焼香場所まで移動しやすいか
- 介助犬が必要な動作を行える空間があるか
補助犬を通路側に置くか壁側に置くかも、犬の種類だけでは決められません。本人が普段行っている待機方法を聞き、会場側の安全条件と合わせて決めます。
開式直前は受付や着席が重なります。葬儀の受付は何分前に到着するかも確認し、早く着きすぎて長時間待つことも、直前の混雑に入ることも避けられる時間を担当者と相談してください。
補助犬へ声をかけたり触れたりしないでください
仕事中の補助犬へ、周囲の方が名前を尋ねる、呼ぶ、触る、食べ物や水を与える、写真を撮るといった行為は控えます。補助犬の注意が利用者からそれると、安全な移動や必要な合図に影響する可能性があります。
補助犬がかわいく見えても、先に利用者本人へ話しかけます。困っているように見える場合は、補助犬のハーネスやリードを持たず、「何かお手伝いできることはありますか」と本人へ確認してください。
ご遺族や会場スタッフが周囲へ案内する場合も、利用者の障害や個人情報を詳しく説明する必要はありません。「補助犬は仕事中ですので、触れたり声をかけたりせず見守ってください」と、必要なことだけを静かに伝えます。
焼香や献花では本人が希望する支援を確認します
焼香台の段差、香炉の火、混み合う移動、献花台の高さなどは、補助犬利用者に限らず事前確認が役立ちます。本人の希望に応じて、スタッフが経路を言葉で案内する、焼香台の位置を説明する、同行者と一緒に進む、席で手を合わせるなどの方法を検討します。
補助犬を誰かが一時的に預かることを当然の手順にしません。焼香時も利用者と補助犬が一緒に動けるかを先に確認し、難しい場合は本人が希望する方法を相談します。宗派や式次第によって進行は異なるため、作法を一律に当てはめるのではなく、安全と本人の意思を優先します。
犬が苦手な方やアレルギーがある方とは距離を調整します
同じ会場に、犬が苦手な方や犬アレルギーのある方が参列することもあります。その場合も、補助犬利用者だけに退出や隔離を求めて解決しないことが大切です。
双方から必要な条件を聞き、席の距離を取る、入退場の時間をずらす、通路を分ける、換気や空調を確認するといった方法を検討します。どちらか一方の事情を周囲へ詳しく話さず、担当者が個別に調整します。
当日初めて事情が分かった場合は、その場で結論を押しつけず、本人同士へ直接交渉を任せないでください。会場担当者が間に入り、それぞれが可能な範囲で参列できる方法を探します。
よくある質問
補助犬はペットと同じ扱いですか?
いいえ。補助犬は、身体障害者補助犬法に基づいて認定された盲導犬・介助犬・聴導犬です。利用者の移動や生活動作、必要な音の把握を支えています。仕事中の補助犬へ触れたり、声をかけたり、食べ物を与えたりしないでください。
葬儀社へ事前に連絡しないと参列できませんか?
事前連絡は許可を得るためではありません。当日の席、動線、焼香、休憩、駐車などを利用者の希望に合わせて準備するために役立ちます。会場と日時が決まった段階で、必要な支援を担当者へお伝えください。
補助犬の認定証を見せる必要がありますか?
利用者は、盲導犬使用者証または身体障害者補助犬認定証などを携帯しています。施設側が補助犬かどうかを確認する必要がある場合、提示をお願いすることがあります。同じ確認を何度も繰り返さないよう、会場側で共有します。
犬が苦手な参列者がいる場合はどうしますか?
補助犬利用者だけに退出を求めず、双方の希望を確認します。席の距離、通路、入退場の時間などを会場担当者が調整し、どちらも可能な範囲で参列できる方法を検討します。
まとめ
補助犬は、利用者から離して待たせるペットではありません。葬儀へ参列するときは、会場、席、移動、焼香、休憩について本人が必要とする支援を確認し、当日の担当者へ共有します。
周囲の方は、仕事中の補助犬へ触れたり声をかけたりせず、支援が必要かどうかを利用者本人へ尋ねてください。犬が苦手な方やアレルギーのある方がいる場合も、どちらか一方を外すのではなく、席や動線を調整します。
補助犬と参列する予定がある方は、利用会場と日時、希望する席や支援を中本葬祭の担当者へお伝えください。資料請求・お問い合わせから事前にご相談いただけます。お急ぎの場合は24時間対応しています。
出典
確認日:2026年9月3日
- 厚生労働省「身体障害者補助犬」
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hojoken/index.html
- 厚生労働省「身体障害者補助犬の受け入れについて」
- https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/hojoken/ukeire.html
- 中本葬祭「施設一覧」
- https://nakamoto.jp/sisetu/
この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
