「知人のご葬儀が日蓮宗と聞いたが、どのようにお参りすればよいのだろう」「南無妙法蓮華経は参列者も唱えるべきなのか」――突然の訃報に接し、ご不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。日蓮宗の葬儀には、他の宗派とは異なる独自の作法がいくつかございますが、基本的な流れや故人を偲ぶ心持ちは共通しています。この記事では、新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町で年間300件以上の葬儀をお手伝いしてきた中本葬祭が、日蓮宗の葬儀マナーを初めての方にもわかりやすくご説明いたします。
日蓮宗とは――法華経を中心とした教え
日蓮宗は鎌倉時代の僧侶「日蓮聖人」が開いた仏教宗派で、「法華経(ほけきょう)」というお経の教えを守り、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」と唱えれば誰もが仏になれるとする教えです。この「南無妙法蓮華経」の七文字を「お題目(だいもく)」と呼び、日蓮宗の信仰の中心となっています。
日蓮聖人の教えでは、法華経の功徳が込められている「南無妙法蓮華経」のお題目を唱える修行が重要とされ、繰り返し唱えることによって法華経への信心の深さを示すことができ、死後には「霊山浄土(りょうぜんじょうど)」で釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)にお会いし、成仏することができるとされています。
葬儀においても、このお題目を唱えることが最も重視されます。葬儀中に「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」を唱えることが、他の宗派との最大の違いといえるでしょう。
新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町の当地域には、日蓮宗の菩提寺をお持ちのご家庭も複数ございます。地域のつながりが深い土地柄ですので、菩提寺のご住職に読経をお願いし、ご親族やご近所の方々とともに故人様をお見送りする形が一般的です。
日蓮宗の葬儀で知っておきたい基本マナー
ご焼香の作法と回数
日蓮宗の葬儀で最も気になるのが、ご焼香の作法ではないでしょうか。日蓮宗は正式には3回となりますが、一般参列者の場合は1回が基本です。
具体的な手順は次の通りです。
- 焼香の順番がきたら、祭壇に進み、ご遺族に一礼し、参列者に一礼します
- 焼香台の前に立ったら、まず合掌し一礼します
- 右手の親指と人差し指で抹香を軽くつまみ、額に押しいただき、香炉にくべます
- 数珠は左手にかけ房を下にし、両手で挟むようにして再び合掌します
- ご遺影を向いたまま二、三歩下がりご遺族に一礼し、参列者にも一礼して席に戻ります
ご焼香の回数は会葬者の人数や時間によって変わることもあります。式場の司会者やご導師からご案内がある場合もございますので、迷われた際は周囲の方の動きに合わせていただいても差し支えありません。最も大切なのは故人を偲ぶ気持ちです。
お題目「南無妙法蓮華経」の唱え方
日蓮宗の葬儀では、唱題では「南無妙法蓮華経」と全員で唱えます。初めて参列される方は「自分も一緒に唱えてよいのだろうか」と不安に思われるかもしれませんが、お題目をはじめ、お経を一緒に唱えることが、故人の供養になりますので、周囲の参列者と一緒に声を合わせていただくとよいでしょう。
お題目「南無妙法蓮華経」には2つの読み方があり、「なむみょー ほーれんげーきょー」と文字を忠実に読む場合と、「なんみょー ほーれんげーきょー」と唱えやすいように変化したものがございます。どちらでも構いませんので、周囲に合わせてお唱えください。
当地域の日蓮宗のご葬儀でも、ご導師がお題目を唱えられる際に、ご遺族や参列者が一緒に唱和される姿をよく拝見いたします。声に出すことが難しい場合は、心の中で唱えるだけでも構いません。
ご服装のマナー
葬儀に参列する際の服装は、故人への敬意と遺族への配慮を示すために最低限の身だしなみとマナーが必要です。男女にかかわらず、葬儀で身につけるものは黒色が基本です。
服装は光沢感のない生地を使用した黒色を選び、アクセサリーやメイクも光沢のあるものやラメ・グリッター入りは避け、華美にならないようにします。また、バッグや財布などの小物類は、毛皮や爬虫類革、スエード加工といった「殺生」を連想させる素材は不適切とされています。
これらのマナーは日蓮宗に限らず仏式葬儀全般に共通するものですので、普段お持ちの喪服で問題ございません。
数珠(念珠)の持ち方
日蓮宗には「法華念珠」という正式な数珠がございます。日蓮宗の数珠は裏房が三つの房でできているのが特徴ですが、参列者として伺う場合には、お手持ちの数珠で構いません。
題目を唱える時は数珠を八の字にねじり、右手に房が2本、左手に房が3本になるように両手の中指にかけて手を合わせます。合掌する際には左手に2重にかけてから手を合わせます。どちらも房を下に垂らすようにして持ちます。ただし、参列者の場合は厳密でなくとも、左手にかけて合掌していただければ失礼にはあたりません。
ご香典のマナーと相場
ご香典袋の書き方
日蓮宗のご香典では、葬儀のときから四十九日の手前の法要までについては、不祝儀袋の表書きには「御霊前」または「御香典」と書きます。そして、葬儀終了から四十九日以降の法要時には「御仏前」「御香典」と書くようにしましょう。日蓮宗では、亡くなられた方は四十九日を境に成仏されるという考え方をするため、このような区別があります。
「御香典」は四十九日前後を問わず使える表書きですので、迷われた場合にはこちらを選ばれるとよいでしょう。
ご香典の金額相場
ご香典の金額は、故人様とのご関係の深さや地域の慣習によって異なりますが、一般的な相場としては、親族の場合は3万円~10万円、配偶者の親族の場合は3万円~10万円、兄弟姉妹の場合は3万円~5万円、会社関係者の場合は5,000円~3万円前後、友人の場合は3,000円~1万円、近所の方の場合は3,000円~5,000円が目安とされています。
ただし、新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町の当地域では、近年ご香典を辞退されるケースが増えております。事前にご香典辞退の旨をお伝えいただいているご家族も多く、その場合は無理にお渡しする必要はございません。ご香典をお持ちになる前に、ご遺族やお世話役の方にご確認いただくと安心です。
なお、ご香典は黒や紫、グレーなどの袱紗(ふくさ)に包んでお持ちいただき、受付で袱紗から取り出してお渡しするのがマナーです。
新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町での日蓮宗葬儀
新宮市を中心とした当地域は、熊野三山信仰の地として古くから仏教文化が根づいており、日蓮宗をはじめ様々な宗派の菩提寺がございます。私ども中本葬祭でも、これまでに数多くの日蓮宗のご葬儀をお手伝いしてまいりました。
当地域の日蓮宗のご葬儀では、菩提寺のご住職にお越しいただき、ご自宅や式場、または菩提寺の本堂でお通夜・ご葬儀を執り行うのが一般的です。ご導師が複数名いらっしゃる場合には、「咒讃鐃鈸(しゅさんにょうはち)」という独特の鳴り物の演奏が行われることもございます。
また、当地域では告別式の日の朝に火葬を行い、ご収骨後に告別式を執り行う流れを選ばれるご家族も多くいらっしゃいます。これは古くからの地域の風習ですが、近年は全国的な流れ(告別式後に火葬)を選ばれる方も増えております。どちらの流れでも対応可能ですので、ご希望や菩提寺のお考えに合わせてお決めいただけます。
当地域は地域のつながりが深く、ご葬儀の際には区長様や組長様へ早めにご連絡されることが多いです。日蓮宗の場合も同様で、菩提寺へのご連絡と並行して、地域の方々へのお知らせもお忘れなくお願いいたします。
よくあるご質問
日蓮宗でない私が参列してもよいのでしょうか?
もちろん問題ございません。葬儀は故人様が信仰されていた宗派に合わせて執り行われますが、参列者の宗派は問われません。ご自身の信仰する宗派の作法で焼香されても失礼にはあたりませんが、日蓮宗の作法に合わせていただくとより丁寧です。
お題目を一緒に唱えられないのですが大丈夫でしょうか?
声を出すことが難しい場合や、言葉を覚えられない場合は、心の中で故人様のご冥福をお祈りいただくだけで十分です。大切なのは故人様を偲ぶお気持ちですので、無理に声を出す必要はございません。
焼香の回数を間違えてしまったらどうすればよいですか?
焼香の回数を間違えても、大きなマナー違反にはなりません。気づいた時点で心を込めて合掌し、ご遺族に一礼してお席にお戻りください。形式よりも、故人様を偲ぶお気持ちが何より大切です。
香典袋は「御霊前」と「御香典」どちらがよいですか?
日蓮宗では四十九日までは「御霊前」または「御香典」のどちらでも構いません。迷われた場合は「御香典」と書いていただければ、四十九日前後を問わずお使いいただけます。
菩提寺がわからない場合はどうすればよいですか?
ご親族の中でご存じの方がいらっしゃれば、まずはお尋ねください。それでもわからない場合は、葬儀社にご相談いただければ、地域の日蓮宗寺院をご紹介することも可能です。当地域には複数の日蓮宗寺院がございますので、ご安心ください。
まとめ
日蓮宗の葬儀は「南無妙法蓮華経」のお題目を中心とした独自の儀式がございますが、基本的なマナーは他の宗派と大きく変わりません。焼香は一般参列者の場合1回、お題目は周囲に合わせてお唱えいただき、ご香典の表書きは「御霊前」または「御香典」とお書きいただければ問題ございません。
新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町の当地域では、菩提寺との関係を大切にしながら、地域のつながりの中でご葬儀を執り行うことが多くございます。わからないことがあれば、ご遺族や葬儀社にお尋ねいただくことをためらわないでください。
最も大切なのは、故人様を偲び、ご遺族に寄り添うお気持ちです。作法に多少の不慣れがあっても、その心があれば十分に伝わります。
「日蓮宗の葬儀について詳しく知りたい」「菩提寺との相談をどう進めればよいかわからない」といったご不安がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。24時間365日、フリーダイヤル0120-52-4966にてご相談を承っております。お見積もり・ご相談は無料です。大切な方とのお別れを、心を込めてお手伝いさせていただきます。
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この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
