通夜・葬儀を終えた後、喪服をそのままクローゼットへ戻してよいか、毎回クリーニングへ出すべきか迷うことがあります。雨の日に着た場合や、汗をかいた場合、近いうちに法要で再び着る予定がある場合は、何から確認すればよいのでしょうか。
喪服は黒い衣類でも、素材、裏地、芯地、装飾、仕立てによって扱い方が異なります。まず汚れと湿り、ポケットの中を確認し、衣類に付いた洗濯表示と付記用語を見ます。見た目や思い込みだけで家庭洗濯を決めず、表示で許されている処理の範囲から手入れ方法を選んでください。
結論|汚れ、表示、次に着る日を順に確認します
喪服を着た後は、次の順に確認すると整理しやすくなります。
- ポケットの中身、名札、安全ピン、ティッシュなどを取り出す
- 襟、袖口、脇、裾、膝、背中に汚れや湿りがないか見る
- 雨、飲み物、食べ物、化粧品などが付いた場所を記録する
- 洗濯表示と付記用語を確認する
- 家庭で扱えるか、クリーニング店へ相談するかを決める
- 受け取り後に上下の組み合わせ、しみ、傷み、付属品を確認する
- 次に着る予定と保管場所を家族で共有する
「黒いスーツだから同じ方法で洗える」「一度しか着ていないから手入れは不要」とは限りません。外見だけで判断せず、その衣類の表示と状態を基準にします。
脱いだ直後に確認したい場所
片付ける前に、明るい場所で上着とボトム、ワンピースを分けて見ます。特に確認したいのは次の場所です。
- 首や襟が触れる部分
- 袖口と脇
- ジャケットの前身頃
- スカートやパンツの裾
- 雨にぬれた肩、背中、足元
- 会食で飲み物や食べ物が付いた可能性のある部分
- ファンデーションや整髪料が触れた部分
汚れを見つけても、素材と処理方法を確認せずに強くこすったり、漂白剤やしみ抜き剤を付けたりしないでください。時間がたつと分かりにくくなる汚れもあるため、場所と原因の心当たりをメモし、クリーニング店へ出す場合は受付時に伝えます。
ポケットには、会葬礼状、ハンカチ、香典袋の控え、鍵、薬などが残ることがあります。衣類の手入れとは別に保管すべき物を取り出し、家族の記録と私物を混ぜないようにします。
参列前の装いを見直したい方は、葬儀の服装マナー|喪服・靴・バッグの選び方も参考にしてください。
洗濯表示は五つの処理を分けて見ます
消費者庁が案内する衣類の洗濯表示は、洗濯、漂白、乾燥、アイロン、商業クリーニングの五つの基本記号で構成されています。記号に重なる「×」は、その処理ができないことを示します。記号の下の一本線、二本線は、通常より弱い処理、非常に弱い処理を示します。
表示は「この方法を必ず行う」という指示ではなく、衣類に回復できない損傷を起こさないための処理上限を示す情報です。次の点を確認してください。
- 家庭洗濯が可能か、禁止か
- 洗える場合の上限温度と処理の強さ
- 漂白が可能か
- タンブル乾燥または自然乾燥の指定があるか
- アイロン温度とスチームの可否
- ドライクリーニングまたはウエットクリーニングの可否
- 「洗濯ネット使用」「あて布使用」「飾り部分アイロン禁止」などの付記があるか
上着とパンツ、ジャケットとワンピースで表示が異なることもあります。一組だから同じ扱いにせず、それぞれの表示を見てください。表示が読みにくい、古くなっている、素材や装飾の判断が難しい場合は、購入店、製造者、クリーニング店へ相談します。
家庭で洗うかクリーニングへ出すか
家庭洗濯を選べるのは、衣類の表示で家庭洗濯が認められ、その処理条件を守れる場合です。ジャケットだけ、パンツだけを先に洗うと、上下で色や風合いの見え方が変わる可能性もあります。組み合わせて着る衣類は、手入れの単位も確認してください。
次の場合は、自己判断で家庭洗濯を進めず、クリーニング店へ状態を伝えて相談します。
- 家庭洗濯禁止の表示がある
- 雨、油、飲食物、化粧品などのしみがある
- 異素材、芯地、レース、飾り、肩パッドがある
- 表示が判読できない
- 長期間保管する前に全体の状態を確認したい
- 自宅で指定どおりの乾燥やアイロンができない
クリーニングへ出す前にもポケットを空にし、上下が一組であること、しみの場所と原因、付属品の有無、急いで受け取りたい日を伝えます。数日後に法要や別の葬儀がある場合は、仕上がり日を先に確認してください。
女性の上着やブラウスの組み合わせは、葬儀で女性が白ブラウスを着てもよいかでも整理しています。
受け取り後は収納前にもう一度確認します
クリーニングから戻ったら、受け取ったまま長期間置かず、明るい場所で次の点を確認します。
- 自分の衣類で、上下の組み合わせが合っているか
- 依頼時に伝えたしみや汚れの状態
- ボタン、ファスナー、ホック、肩パッドなどに変化がないか
- 付属品がそろっているか
- におい、湿り、変色、縮み、風合いの変化がないか
- 店から保管上の注意が案内されていないか
気になる点がある場合は、着用や追加処理をする前に、受付票や領収書を用意して店へ確認します。店の包装や保管方法についても一律に決めず、素材と仕上げに合う方法を尋ねてください。
次回に備えて一式を点検します
喪服だけ整えても、次に必要な物が見つからなければ準備に時間がかかります。衣類とは別に、靴、バッグ、ベルト、ネクタイ、ストッキング、ハンカチを確認します。
靴は泥や雨の状態と、底やかかとの傷みを見ます。素材に合う手入れが分からない場合は、購入店や修理店へ確認してください。女性の靴選びは、葬儀の靴・ヒールの高さは何cmかで案内しています。冬用コートを一緒に保管する方は、葬儀のコートの色と選び方もご確認ください。
一式を保管するときは、家族の誰の物か、サイズ、季節、最後に点検した日、借り物やレンタル品の有無を分かるようにしておくと、次回の確認がしやすくなります。体形や靴の状態は変わるため、長く使わなかった喪服は、必要になる前に試着してください。
レンタル喪服は返却条件を優先します
レンタル品は、家庭で洗ったり自己流でしみ抜きしたりせず、貸出元の返却条件を確認します。汚れや破損があれば隠さず、場所と原因を伝えてください。
確認する内容は、返却期限、同梱品、ハンガーやカバーの扱い、配送方法、汚れや雨ぬれの連絡先です。葬儀の予定が続いて延長したい場合も、返却期限を過ぎる前に相談します。
よくある質問
喪服は一度着るたびに必ずクリーニングへ出しますか?
回数だけで一律に決めず、汗や雨、汚れ、次に着る予定、衣類の洗濯表示を確認します。家庭洗濯が禁止されている場合や、しみ、異素材、装飾がある場合は、クリーニング店へ状態を伝えて相談してください。
自宅の洗濯機に「おしゃれ着コース」があれば洗えますか?
コース名だけでは判断できません。衣類の洗濯表示で家庭洗濯の可否、温度、処理の強さを確認し、洗濯機の説明書と照らします。家庭洗濯禁止の表示がある場合は洗わないでください。
しわがあればスチームアイロンを当ててもよいですか?
アイロンの温度とスチームの可否は衣類ごとに異なります。洗濯表示と付記用語を確認し、分からない場合は製造者やクリーニング店へ相談してください。
次の法要ですぐ着る予定があります。何を先に確認しますか?
まず衣類の汚れと洗濯表示を確認し、必要な処理と仕上がり日を決めます。靴、ネクタイ、ストッキングなども同時に点検し、間に合わない場合はレンタルや別の一式を早めに検討してください。
まとめ
喪服を着た後は、ポケット、汚れ、湿り、洗濯表示、次に着る日を順に確認します。家庭洗濯やアイロンを見た目だけで決めず、表示が示す処理上限と付記用語に従ってください。判断が難しい場合は、購入店、製造者、クリーニング店へ衣類の状態を具体的に伝えます。
葬儀後の片付けや、次の法要までに確認することを整理したい方は、資料請求・お問い合わせから中本葬祭へご相談ください。葬儀後のご相談は、落ち着いた段階でお話しいただけます。お急ぎの場合は24時間対応しています。
出典
確認日:2026年8月31日
- 消費者庁「家庭用品品質表示法」
- https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/
- 消費者庁「洗濯表示(令和6年8月20日以降)」
- https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_02.html
- 中本葬祭「葬儀の服装マナー|喪服・靴・バッグの選び方」
- https://nakamoto.jp/osousiki-manner2/sougi-fukusou-manner/
この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
