中本葬祭ブログ

仏壇の地震対策|固定・仏具の落下・避難経路を確認

2026/09/01

仏壇の地震対策として壁際の安定した配置と安全な通路を確認するイメージ画像

地震への備えを見直すとき、背の高い家具やテレビは確認しても、仏壇は「重いから動かないだろう」と後回しにしがちです。しかし、仏壇の周囲には、位牌、花立、香炉、遺影、照明、ガラス戸など、揺れで落ちたり動いたりする物があります。

対策は、仏壇へ金具を付けることから始めるのではありません。まず人が座る場所と避難経路を見て、次に仏壇本体、内部の仏具、火と電源を分けて点検します。仏壇の材質、壁の下地、宗派やご家庭のまつり方が分からない場合は、自己判断で穴を開けたり接着したりせず、仏壇店や住宅の管理者へ相談してください。

最初に見るのは「倒れる向き」と「逃げる道」です

東京消防庁は、家具類の転倒・落下・移動防止対策として、固定だけでなく、安全な配置、収納物の落下防止、ガラスの飛散防止をまとめて確認するよう案内しています。仏壇も室内に置かれた大きな物として、周囲を含めて考えます。

最初に、普段手を合わせる位置へ座り、次の点を見てください。

  • 仏壇が前へ倒れたとき、人のいる場所へ届かないか
  • 出入口、廊下、寝室からの動線をふさがないか
  • 扉や引き出しが開いたとき、通路へ張り出さないか
  • 上に載せた遺影や箱が落ちる位置に、人が座っていないか
  • 窓ガラスや背の高い家具と同時に倒れる配置になっていないか
  • ストーブや暖房器具の近くへ、物が落ちる可能性がないか

仏壇を移動できなくても、座る位置を変える、上に物を積まない、通路側の小物を減らすなど、先にできることがあります。方角や形式を大切にするご家庭もありますが、安全に手を合わせられることを優先し、迷う場合は菩提寺と仏壇店の両方へ確認します。

仏壇と神棚の置き場所を見直す方は、神棚と仏壇の置き場所|方角より大切な確認点も参考にしてください。

本体の固定は、仏壇と壁の両方を確認して決めます

固定器具は、付ければ必ず安全になるわけではありません。仏壇の構造に合わない場所へビスを入れると、木部、扉、背板、塗装を傷めることがあります。壁側も、石こうボードの表面だけでは十分な強度を得られない場合があります。

固定を考えるときは、次の情報をそろえます。

  1. 仏壇のメーカー、購入店、型や大きさ
  2. 上置き型、台付き型、造り付けなどの形
  3. 仏壇本体と台が分かれているか
  4. 背面と壁の間隔
  5. 壁の材質と下地の位置
  6. 賃貸住宅か持ち家か
  7. すでに使っている固定具と劣化の有無

内閣府の家具固定の案内には、ベルト式の器具を仏壇へ使う例があります。ただし、同じ方式がすべての仏壇へ適合するとは限りません。現在の仏壇と壁に合う器具、取り付け位置、施工方法は、仏壇店、施工業者、住宅の管理者へ現物を見せて確認してください。

大型の仏壇を家族だけで前へ引き出したり、持ち上げたりしないでください。重量があるほか、扉や内部の仏具が動き、床を傷めることもあります。確認のために動かす必要がある場合は、仏具を安全に移す順番も含め、専門店へ相談します。

仏具と遺影は「落ちる・滑る・割れる」で点検します

本体が倒れなくても、内部や周囲の物が飛び出すことがあります。仏具は一つずつ、落下、滑り、破損の三つに分けて見ます。

  • 高い場所に重い物を載せていないか
  • 扉や引き出しが揺れで開きやすくないか
  • 花立や香炉が棚の端へ寄っていないか
  • 遺影や額が壁へ立て掛けただけになっていないか
  • ガラス戸や額のガラスが割れたとき、座る場所へ飛ばないか
  • コードが引っ張られ、照明や器具が落ちる位置になっていないか

位牌やご本尊、宗教具の置き方は宗派や寺院、ご家庭によって異なります。固定や滑り止めを施すことで材質を傷めたり、日常のお参りや掃除がしにくくなったりすることもあります。粘着材を直接付ける前に、仏壇店と菩提寺へ相談してください。

配置を記録するときは、正面と左右から写真を撮り、撮影日も残します。揺れの後に戻すためだけでなく、固定方法を専門店へ相談するときにも役立ちます。掃除を兼ねて点検する場合は、仏壇の掃除方法|金箔や仏具を傷めない手順と注意点をご確認ください。

火と電源は、揺れた後に戻らない前提で備えます

ろうそくや線香に火が付いているときに揺れを感じても、無理に仏壇へ近づかないでください。まず身の安全を確保し、強い揺れの最中は低い姿勢で頭を守ります。避難が必要なときは、火を消すために危険な室内へ戻らないことが大切です。

平常時には、次の点を確認します。

  • 火を使うときは、その場を離れない
  • 燃えやすい紙、布、造花を火の近くへ置かない
  • ろうそく立てと香炉が安定しているかを見る
  • 照明や電気ろうそくのコード、プラグ、発熱を点検する
  • 使わない電気器具は、製品の説明に従って電源を切る
  • 家族で避難するときの声掛けと集合場所を決める

宗教・宗派やご家庭の習慣があっても、火を絶やさないために無人の部屋で燃やし続けることは避けます。線香やろうそくの扱いは、なぜお葬式ではろうそくや線香を絶やしてはいけないの?でも安全を優先する考え方を案内しています。

賃貸住宅や固定できない仏壇は、先に相談先を分けます

賃貸住宅では、壁へ穴を開ける前に賃貸借契約と管理会社の案内を確認します。退去時の原状回復だけでなく、壁の構造や配線の位置が分からないまま施工すると危険です。

相談先は、内容によって分けると進めやすくなります。

  • 仏壇の構造、材質、動かし方:購入店または仏壇店
  • 壁の下地、固定施工、住宅設備:施工業者または住宅管理者
  • 宗教具の位置、ご本尊や位牌の扱い:菩提寺または宗教者
  • 賃貸住宅の工事可否:管理会社または家主
  • 自分で作業できない場合:対応範囲を明示する専門業者

「穴を開けられないから何もできない」と決めず、倒れる向きの変更、上に載せた物を下ろす、通路を空ける、扉やガラスから座る位置を離すといった対策から始めてください。器具だけを購入する前に、取り付ける場所の強度と、仏壇への適合を確認します。

家族で10分点検し、写真と日付を残します

一度の大がかりな作業より、定期的な点検が大切です。防災の日、仏壇の掃除、法要前など、家族が集まる機会に次の順で確認します。

  1. 出入口まで歩き、物がないか見る
  2. 仏壇のぐらつき、傾き、壁との隙間を見る
  3. 上に載せた物と高い位置の仏具を確認する
  4. 扉、引き出し、ガラス、額の状態を見る
  5. 火を使う場所と電源コードを確認する
  6. 正面と左右から写真を撮る
  7. 点検日と、相談が必要な箇所を記録する

地震の後は、扉や引き出しを正面から急に開けないでください。中で物が倒れている可能性があります。仏壇が傾いている、固定具が外れている、ガラスが割れている、電気配線が傷んでいる場合は近づかず、安全な場所から専門業者へ相談します。

よくある質問

仏壇は重いので、固定しなくても動きませんか?

重量だけで安全とは判断できません。揺れ方、仏壇の形、台との接合、床、壁、重心によって、転倒や移動の可能性があります。本体に加え、扉、引き出し、仏具、遺影、ガラス、周囲の通路も確認してください。

市販の転倒防止器具を自分で付けてもよいですか?

仏壇の材質と構造、壁の下地、器具の使用条件が確認できる場合に限ります。分からないまま穴を開けたり接着したりせず、仏壇店、施工業者、住宅管理者へ現物や写真を見せて相談してください。

位牌や仏具へ滑り止めを付けてもよいですか?

材質を傷めたり、宗派や寺院の考え方と合わなかったりする場合があります。直接貼り付ける前に、仏壇店と菩提寺へ確認してください。まず高い場所へ重い物を置かない、棚の端から離す方法を検討します。

地震で仏壇が傾きました。自分で戻してよいですか?

大型の仏壇や、ガラス・電気配線・固定具に異常がある仏壇へ近づくのは危険です。周囲へ人が入らないようにし、安全な場所から仏壇店や施工業者へ相談してください。

まとめ

仏壇の地震対策は、固定器具だけで考えず、倒れる向き、座る位置、避難経路、仏具や遺影の落下、ガラス、火、電源を分けて点検します。大型の仏壇を無理に動かしたり、材質や壁の強度を確認せず加工したりしないでください。

宗教具の位置は菩提寺、仏壇の構造は仏壇店、壁や施工は住宅の管理者・施工業者へ相談先を分けます。葬儀後の仏壇や供養について整理したい方は、資料請求・お問い合わせから中本葬祭へご相談ください。お急ぎの場合は24時間対応しています。

出典

確認日:2026年9月1日

  • 東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」
  • https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/elib/kagutenhandbook.html
  • 内閣府「やってみよう!家具固定 第3回〜地震防災対策『家具転倒防止金具や種類』」
  • https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h22/07/kagukotei.html
  • 内閣府「自然災害への備えは万全ですか?チェックしてみよう!」
  • https://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/check.html
  • 中本葬祭「神棚と仏壇の置き場所|方角より大切な確認点」
  • https://nakamoto.jp/kuyo/kamidana-butsudan-basho-narabi/

この記事の監修

中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター

平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。

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