忌引き休暇を終えて職場へ戻るとき、「最初に何と挨拶すればよいか」「香典や弔電をいただいた方へ、どこまでお礼をするか」「まだ仕事へ気持ちを切り替えられない」と迷うことがあります。葬儀後の手続きが続き、休暇中の業務も気になっている方にとって、復帰初日は負担の大きい一日になり得ます。
職場復帰の挨拶に全国共通の決まった文例はありません。まず復帰日と必要な手続きを上司・人事担当者へ確認し、初日は配慮へのお礼と仕事へ戻ることを短く伝えます。香典や弔電への対応は、会社名義か個人名義か、勤務先の慶弔制度や職場の慣行を確認して分けて考えてください。
結論|復帰日・お礼・仕事の順に整えます
忌引き明けは、次の順で準備すると整理しやすくなります。
- 復帰日と出勤方法を上司または人事へ確認する
- 追加で必要な申請書類がないか確認する
- 香典、弔電、供花、慶弔金を誰から受け取ったか整理する
- 初日の挨拶は短い言葉で用意する
- 休暇中の引き継ぎと、優先して再開する仕事を確認する
- 菓子折りや返礼は、職場の慣行と名義を見て判断する
- 心身や家庭の事情で通常勤務が難しければ、早めに相談する
お世話になった方へ感謝を伝えることと、仕事を休んだことを謝り続けることは同じではありません。職場の方が業務を引き継いでくれた場合は、その事実へ具体的にお礼を伝え、仕事の状況を確認します。
復帰日の前に上司・人事へ連絡します
忌引き休暇は、法律で日数が一律に定められた休暇ではありません。厚生労働省は、特別な休暇制度を、企業が任意に設ける制度として案内しています。取得日数、有給・無給、休日を含むか、必要書類は勤務先の就業規則で異なります。
復帰日の前日までを目安に、次の内容を確認します。
- 予定どおりの日時に復帰してよいか
- 通常勤務、時差出勤、在宅勤務などの扱い
- 会葬礼状、死亡の事実が分かる書類、申請書などの提出要否
- 休暇中の勤怠申請が完了しているか
- 香典、弔電、供花、慶弔金を会社で預かっているか
- 休暇中の業務を誰が引き継いだか
予定より早く戻れる場合も、自己判断で出勤せず、上司または人事へ相談します。勤務先が人員配置や業務の引き継ぎを調整している可能性があるためです。
休暇日数や申請方法をまだ確認していない方は、忌引き休暇は何日取れるかを先にご覧ください。訃報を受けた直後の会社への報告は、親が亡くなった場合の勤務先への連絡で整理しています。
初日の挨拶は短くて構いません
復帰初日は、まず直属の上司や業務を引き継いだ方へ挨拶します。朝礼などで全員へ話すか、必要な方へ個別に伝えるかは職場によって異なるため、上司へ確認してください。
基本は、次の三点で十分です。
- 休暇と業務調整へのお礼
- 本日から仕事へ戻ること
- 引き継いでもらった業務を確認したいこと
たとえば、次のように短く伝えられます。
このたびは休暇中のご配慮と業務のご対応をありがとうございました。本日から復帰いたします。引き継いでいただいた内容を確認させてください。
職場から香典や弔電を受け取った場合は、次のように一言加えます。
ご丁寧なお心遣いをいただき、ありがとうございました。家族にも伝えました。
葬儀の詳細や故人の病状、家族の事情を説明する必要はありません。「お気遣いありがとうございます。詳しいことは落ち着いてからお話しします」のように、話す範囲を自分で決めて構いません。
香典・弔電・供花は名義を確認してお礼を分けます
職場から受け取る弔意には、会社の慶弔規程によるもの、部署や有志一同からのもの、個人からのものがあります。まとめて扱わず、名義と内容を記録してください。
会社名義の慶弔金・弔電・供花
会社の制度に基づく慶弔金や、会社名義の弔電・供花は、まず上司または総務担当者へ口頭でお礼を伝えます。返礼品が必要かを自己判断せず、社内規程やこれまでの扱いを確認してください。
部署・有志一同からの香典
「営業部一同」「有志一同」など複数名から受け取った場合は、取りまとめた方へお礼を伝え、個別の名前が分かるかを確認します。香典返しをどの単位で用意するかは、金額、職場の慣行、地域やご家庭の考え方で変わります。
個人からの香典・弔電
個人名義で受け取ったものは、本人へ直接お礼を伝え、返礼の予定を家族と共有します。返礼品を用意する場合は、ほかの香典返しとの時期や内容をそろえるかを確認してください。
葬儀後の書面でのお礼は、葬儀後の挨拶状・御礼状も参考になります。ただし、職場での口頭挨拶と、香典返しに添える挨拶状は目的が異なります。
菓子折りは先に職場の慣行を確認します
忌引き明けに菓子折りを持参するかは、会社や部署によって受け止め方が異なります。全員へ必ず配るものと決めず、上司や総務へ職場の慣行を尋ねてください。
持参する場合も、高価な品や大きな包装を用意する必要はありません。目的は休んだことへの埋め合わせではなく、業務を支えてくれた方への感謝を伝えることです。個人から受け取った香典への返礼と、部署全体への菓子折りを同じものとして扱わないようにします。
食品の持ち込みを制限している職場、在宅勤務が中心の職場、アレルギーへの配慮が必要な職場もあります。分からない場合は品物を用意する前に確認し、口頭のお礼だけにする選択もあります。
仕事は「全部取り戻す」より優先順位を確認します
復帰したら、休暇中のメールや予定をすべて一人で追う前に、引き継ぎ担当者と次の点を確認します。
- 完了した仕事
- 対応中の仕事と次の期限
- 顧客や取引先へ連絡済みの内容
- 今日中に判断が必要なこと
- 引き続き担当をお願いすること
復帰直後は、葬儀後の行政・保険・相続手続きや、家族への支援が続いている場合があります。勤務時間外の連絡先や、追加で休む可能性がある日を共有しておくと、職場も調整しやすくなります。
取引先へ不在理由を詳しく話す必要はありません。「休暇をいただいており、ご連絡が遅くなりました。担当者からの引き継ぎを確認して対応します」のように、仕事上必要な内容を伝えます。
通常勤務が難しいときは復帰前後に相談します
葬儀が終わっても、気持ちや生活がすぐ元に戻るとは限りません。眠れない、食事を取れない、通勤や業務へ強い不安がある、家族の支援や手続きが続くなど、通常勤務が難しい事情がある場合は、上司、人事、産業保健スタッフへ相談します。
相談時は、病名や家族の事情を詳しく説明することより、現在難しいことと希望する調整を伝えます。
- フルタイム勤務が難しい
- 集中を要する業務の負担が大きい
- 手続きのため特定日に休みたい
- 医療機関や相談窓口を利用したい
厚生労働省の「こころの耳」は、働く方や家族、人事労務担当者を対象に、仕事や心の悩みに関する相談窓口を案内しています。緊急の危険がある場合や、医療的な判断が必要な場合は、相談窓口だけでなく医療機関など適切な支援先へ連絡してください。
死別後の気持ちとの向き合い方は、グリーフケアとは何かでも案内しています。
職場の方が迎えるときに配慮したいこと
上司や同僚が忌引き明けの方を迎える場合は、葬儀の詳細を繰り返し尋ねず、仕事の状況を簡潔に共有します。
- お悔やみと復帰への声かけを短く伝える
- 休暇中に対応した業務を一覧にする
- すぐに判断が必要な仕事を絞る
- 香典や弔電を誰から預かったか伝える
- 本人が話したくない内容を周囲へ広げない
- 必要に応じて人事や産業保健スタッフとの相談を案内する
「元気になった」「もう大丈夫」と周囲が決めず、本人へ仕事上必要な確認をします。特別扱いを続けるか通常業務へ戻すかも、一律に決めず対話して調整してください。
よくある質問
忌引き明けの朝礼で、全員へ挨拶する必要がありますか?
職場の慣行や規模によって異なります。まず上司へ確認し、必要な場合も、休暇と業務対応へのお礼、本日から復帰することを短く伝えれば十分です。
菓子折りを持って行かないと失礼ですか?
菓子折りの扱いは職場ごとに異なります。全員へ必ず配るものと決めず、上司や総務へ慣行や食品持ち込みの可否を確認してください。口頭で具体的にお礼を伝える方法もあります。
会社からいただいた香典にも香典返しは必要ですか?
会社の慶弔規程、会社名義、部署・有志一同、個人名義で扱いが変わります。名義と金額を記録し、会社名義のものは総務へ、個人や有志からのものは取りまとめた方へ返礼方法を確認してください。
復帰しても仕事へ集中できないときはどうすればよいですか?
一人で通常勤務へ戻そうとせず、上司、人事、産業保健スタッフへ、現在難しい業務と希望する調整を伝えてください。必要に応じて医療機関や「こころの耳」などの相談窓口も利用できます。
まとめ
忌引き明けに職場へ戻るときは、復帰日と社内手続き、香典・弔電等の名義、初日の挨拶、引き継ぎ業務の順に確認します。挨拶は短く、業務への対応には具体的にお礼を伝えます。菓子折りや返礼を一律に決めず、勤務先の制度と慣行を確認してください。
葬儀後の手続きや法要準備が続き、仕事との調整に必要な日程を整理したい方は、資料請求・お問い合わせから中本葬祭へご相談ください。葬儀後のご相談は、落ち着いた段階でお話しいただけます。お急ぎの場合は24時間対応しています。
出典
確認日:2026年8月30日
- 厚生労働省「特別な休暇制度とは」
- https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuukaseido/
- 厚生労働省「モデル就業規則」
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html
- 厚生労働省「働く人の『こころの耳電話相談』」
- https://kokoro.mhlw.go.jp/tel-soudan/
- 中本葬祭「忌引き休暇は何日取れる」
- https://nakamoto.jp/questions-from-customers/kibiki-kyuuka-riyou-nayami/
- 中本葬祭「親が亡くなった場合の勤務先への報告」
- https://nakamoto.jp/osousiki-manner2/oya-shikyo-kinmusaki-houkoku/
この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
