ご自宅や弔問先の仏壇で、「おりんは何回鳴らすのか」「手を合わせるだけでも鳴らすのか」「家族と違う作法をしてしまわないか」と迷うことがあります。
おりんの呼び方、鳴らす回数、使う場面は宗派や寺院のおつとめによって異なります。すべての宗派に共通する一つの回数を覚えるより、その家の宗派と菩提寺の案内を確認することが大切です。
結論|回数を決めつけず、おつとめの手順として確認します
おりんは、読経や勤行の区切りなどに用いられる仏具です。「仏壇へ向かうときは必ず2回」「故人を呼ぶために鳴らす」と全国共通の作法として決めつけることはできません。
たとえば、曹洞宗の公式案内では、家庭のお仏壇でのおつとめの例として、読誦の前と後にリンを三度鳴らす手順が示されています。一方、浄土真宗本願寺派の2026年版教材では、仏飯を上げ下げするときに鏧を鳴らす必要はないと案内されています。
また、何より大切な事はお気持ちです。作法も大切な事ですがお心静かにお参りすることが何よりですのであまり気にし過ぎる必要はありません。
また上記の違いからも、回数だけを切り離して覚えるのではなく、どうしても正しく行いたい!という事であれば
次の順で確認するのが確実です。
- ご家庭の宗派を確認する
- 菩提寺や寺院から教わっているおつとめの順序を確認する
- 経本や宗派公式の案内に沿う
- 弔問先では、ご遺族の案内やその家の習慣を優先する
宗派が分からない場合や、ご家庭で特に決まった方法がない場合は、無理に鳴らさず静かに合掌し、後で菩提寺へ尋ねても失礼にはあたりません。
「おりん」「りん」「鏧」は同じものですか?
仏壇の前に置く椀形の鳴り物は、一般に「りん」「おりん」と呼ばれます。宗派や地域、仏具店によって「鏧(きん)」など別の呼び方をすることもあります。
ただし、寺院で用いる大きさや形の異なる鳴り物まで、すべて同じ作法で扱うわけではありません。名称が分からないときは、写真をむやみに第三者へ送るのではなく、菩提寺や購入した仏具店へ、形や置き場所を伝えて確認するとよいでしょう。
仏壇内の本尊、位牌、香炉、花立などの位置は、仏壇の仏具配置|本尊・位牌・香炉・花立の基本も参考にしてください。
宗派公式の案内から分かる違い
曹洞宗の例|おつとめの前後に三度鳴らす
曹洞宗の公式サイト「お仏壇のまつり方」では、朝のおつとめの一例として、姿勢と呼吸を整え、ろうそくと線香を供えたあと、リンを三度鳴らして合掌し、唱え終わったあとにも三度鳴らす流れが示されています。
これは曹洞宗公式の家庭でのおつとめの例です。別の宗派へそのまま当てはめたり、「三度が仏教全体の決まり」と理解したりしないようにします。同じ宗派でも、菩提寺から具体的な手順を教わっている場合は、その案内を優先してください。
浄土真宗本願寺派の例|仏飯の上げ下げでは鳴らす必要がない
浄土真宗本願寺派が2026年に公開している教材では、仏飯は原則として朝に供え、お供えしたものは後でいただくこと、仏飯を上げ下げするときに鏧を鳴らす必要はないことが示されています。
つまり、「仏壇へ何かを供えるたびに必ず鳴らす」という理解は適切ではありません。勤行の中でいつ鳴らすかは、寺院から教わった次第や経本を確認しましょう。
弔問先で迷ったときの対応
弔問先では、自分の家の作法をそのまま持ち込まず、ご遺族の意向を優先します。仏壇の前へ案内されたときは、次の対応なら落ち着いて進められます。
- 供物は勝手に置かず、まずご遺族へ渡す
- おりんや経本へすぐ触れず、案内があるか待つ
- 先にお参りした方の回数だけを見て、宗派の決まりだと判断しない
- 分からなければ「こちらでは、おりんを鳴らしますか」と短く尋ねる
- ご遺族が対応中なら、無理に確認せず静かに合掌する
おりんを鳴らさなかったことだけで、弔意が伝わらなくなるわけではありません。作法を完璧に見せることより、遺族の時間とその家の仏事を乱さない配慮を優先します。
後日うかがう際の服装や持ち物は、後日弔問のマナー|持ち物・服装・訪問前の確認点で整理しています。
おりんを傷めにくい扱い方
回数が分かっていても、強く打つ必要はありません。りん棒で縁や側面を軽く打ち、音が十分に響いたら続けて強打しないようにします。りん棒を投げるように置くと、仏壇や仏具を傷つけることがあるため、台や所定の位置へ静かに戻します。
次のような場合は、無理に鳴らさず、仏具店や菩提寺へ相談してください。
- ひび、欠け、変形がある
- りん布団や台が不安定になっている
- りん棒の先端が割れている
- 仏壇内の電気配線やろうそくに近く、安全に手を伸ばせない
仏具のほこりや汚れが気になる場合も、研磨剤や薬剤を自己判断で使わず、仏壇の掃除方法|金箔や仏具を傷めない手順と注意点をご確認ください。
線香やろうそくとは別に考えます
おりんを鳴らすことと、線香やろうそくへ火をつけることは別の確認事項です。小さなお子さまやペットがいる、地震が心配、近くに燃えやすい物がある、外出前であるといった場合は、火を使わない選択を優先してください。
線香の本数や供え方も宗派により異なります。お線香は何本立てれば良い?を参考にしつつ、最終的には菩提寺の案内を確認しましょう。
よくある質問
仏壇のおりんは必ず2回鳴らしますか?
必ず2回という全国共通の決まりはありません。曹洞宗公式では家庭のおつとめの例として前後に三度鳴らす手順があり、宗派や寺院によって異なります。
手を合わせるだけでも、おりんを鳴らしますか?
宗派やおつとめの内容によります。浄土真宗本願寺派の公式教材では、仏飯の上げ下げで鏧を鳴らす必要はないと示されています。何かをするたびに鳴らすとは考えず、経本や菩提寺の案内を確認してください。
弔問先の宗派が分からない場合はどうしますか?
ご遺族へ短く確認するか、案内がなければ無理に触れず静かに合掌します。自分の家の作法をそのまま当てはめないことが大切です。
おりんがない仏壇は失礼ですか?
仏壇の形や用いる仏具は宗派、ご家庭、住環境によって異なります。おりんの有無だけで失礼とは判断せず、必要な仏具は菩提寺へ相談してください。
まとめ
仏壇のおりんは、すべての宗派で同じ回数・同じタイミングに鳴らすものではありません。曹洞宗や浄土真宗本願寺派の公式案内を見ても、使う場面はおつとめの内容によって異なります。「何回か」だけを覚えるのではなく、宗派、菩提寺、経本、その家の習慣の順に確認しましょう。
中本葬祭の葬儀後のアフターフォローでは、仏壇や仏具、法要の準備について確認事項を整理するお手伝いをしています。宗派ごとの個別の作法は菩提寺へご確認いただきながら、何をどこへ相談すればよいか迷われたときは、資料請求・お問い合わせからご相談ください。
出典
確認日:2026年8月16日
- 曹洞宗 曹洞禅ネット「お仏壇のまつり方」
- https://www.sotozen-net.or.jp/ceremony/memorial/obutsudan
- 浄土真宗本願寺派「仏教章修得に向けたテキスト」(2026年版)
- https://www.hongwanji.or.jp/jiin/upload_img/05_03_text_2026.pdf
この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
