「遠方にあるお墓の管理が難しくなってきた」「お墓の継承者がいない」――そのようなお悩みから、ご先祖様のご遺骨を別のお墓へ移す「改葬(かいそう)」をお考えのご家族が増えています。しかし、改葬には行政への届出や複数の書類が必要となり、手続きの流れが分からず不安を感じる方も少なくありません。このページでは、改葬の基本的な知識から、新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町で実際に手続きを進める際の流れ、必要書類、費用の目安まで、地域に根ざした中本葬祭が分かりやすくご説明いたします。
改葬とは何か――お墓の引越しに必要な基本知識
改葬とは、すでにお墓や納骨堂に納められているご遺骨を、別の墓地や納骨堂へ移すことを指します。一般に「お墓の引越し」とも呼ばれ、法律(墓地、埋葬等に関する法律)により、改葬許可申請を行わずに遺骨を移動した場合は法律違反になる可能性があります。そのため、きちんとした手続きを経て自治体から「改葬許可証」を交付してもらう必要があります。
改葬が必要になる理由はご家庭によってさまざまです。ご家族が遠方に転居されてお墓参りが難しくなった場合、お墓を継ぐ方がいらっしゃらない場合、あるいはご高齢で墓地の管理がご負担になってきた場合などが挙げられます。近年では少子高齢化や核家族化の進行に伴い、改葬を選ばれる方が年々増えており、2022年には過去最高の15万件を超える方々が墓じまいによる改葬をおこなったと報告されています。
改葬を行う際には、改葬許可証は遺骨1つにつき1通必要です。つまり、一つのお墓に複数のご遺骨が納められている場合、それぞれのご遺骨に対して個別に申請書を用意しなければなりません。この点は見落とされやすいため、事前にお墓に何体のご遺骨があるかを確認しておくことが大切です。
また、改葬には行政手続きのほかに、現在のお墓の管理者(お寺や霊園)との調整、新しい納骨先の確保、墓石の撤去工事など、複数の段階を経る必要があります。全体の流れを把握し、余裕を持ったスケジュールで進めることが、スムーズな改葬のポイントです。
改葬の手続きで知っておきたいこと――流れと必要書類
改葬の手続きは、大きく分けて「新しい納骨先の確保」「必要書類の準備」「改葬許可証の取得」「ご遺骨の取り出しと納骨」という流れで進みます。ここでは、それぞれの段階で何をすべきかを順を追ってご説明します。
①新しい納骨先を決める
改葬手続きを始める前に、関係する親族や寺院等と打ち合わせをし、新しい墓地(改葬先)を決める必要があります。改葬先が決まっていないと、後述する「受入証明書」を入手できず、改葬許可証の申請ができません。永代供養墓、納骨堂、樹木葬、一般墓など、ご家族のご希望に合った納骨先をあらかじめ選定しておきましょう。
②必要書類を揃える
改葬許可証を交付してもらうには、「埋蔵証明書」「受入証明書」「改葬許可申請書」の3種類の書類が必要です。
・埋蔵証明書(埋葬証明書):今のお墓に遺骨が納められていることを証明するための書類で、現在のお墓の管理者の署名や捺印が必要です。お寺や霊園に発行を依頼します。1通あたり300円~1,500円が相場となっています。
・受入証明書:新しく遺骨を納めるお墓の管理者が発行する書類で、改葬先がご遺骨の受け入れを承諾していることを証明します。基本的に手数料はかかりません。
・改葬許可申請書:現在のお墓がある自治体(市区町村役場)の窓口で入手するか、自治体のホームページからダウンロードできる場合もあります。死亡者の氏名、本籍、住所、生年月日、死亡年月日、埋葬場所、改葬先などの必要事項を記入します。
③改葬許可証を取得する
埋蔵証明書、受入証明書、改葬許可申請書がそろったら、現在のお墓がある地域の自治体に提出します。申請が受理されると、数日から1週間程度で「改葬許可証」が交付されます。自治体によって異なりますが、改葬許可申請書提出の手数料は1,000円程度かかる場合もありますが、無料のケースもあります。
④ご遺骨を取り出し、新しいお墓へ納骨する
改葬許可証を取得したら、現在のお墓の管理者に許可証を提示し、ご遺骨を取り出します。この際、お墓から魂を抜く「閉眼供養(魂抜き)」をご住職に執り行っていただくのが一般的です。その後、お墓の墓石を撤去し、更地にして管理者にお返しします。新しい納骨先では、改葬許可証を提出し、ご遺骨を納骨します。納骨の際には「開眼供養(魂入れ)」を行い、改葬が完了します。
改葬の一連の手続きには、目安として3ヶ月~4ヶ月程度は要するとされています。また、親族や現在のお墓の管理者に相談することが最初のステップとして重要です。特に菩提寺との関係が深い場合やご親族が複数いらっしゃる場合は、事前によく話し合い、理解を得ておくことでトラブルを防ぐことができます。
改葬にかかる費用の相場と内訳(2026年時点)
改葬を行う際には、書類の取得費用だけでなく、お墓の撤去費用や新しい納骨先の費用など、複数の項目で費用が発生します。ここでは、一般的な費用相場をご紹介します。ただし地域や墓地の規模、改葬先の種類によって金額は大きく変わりますので、あくまで目安としてお考えください。
①行政手続きに関わる費用
行政手続きに関する費用の相場は、数百円〜1,000円ほど。改葬許可申請に必要な書類を取得するときにかかる手数料で、自治体や墓地管理者によって金額が変わります。埋蔵証明書が300円~1,500円程度、改葬許可証の交付手数料が無料~1,000円程度が一般的です。
②現在のお墓の処分・撤去費用
墓石の撤去と区画を更地に戻す工事費用として、30~50万円程度が目安とされています。墓地の広さや使用する重機、立地条件によって変動します。また、お墓から遺骨を取り出す際の費用の相場は4~5万円程度です。閉眼供養のお布施は1万円程度が目安とされていますが、お寺によって異なりますので、事前にご確認ください。
③新しい納骨先にかかる費用
新しい納骨先に関する費用の相場は30万円〜100万円ですが、改葬先のお墓によって金額が異なります。永代供養墓や納骨堂、樹木葬など、墓石を必要としないタイプのお墓を選ばれる場合は、一般的なお墓に比べて費用を抑えることができます。一方、新たに墓石を建立される場合は、墓石代や永代使用料などが加わり、費用が高額になることもあります。
④その他の費用
遺骨を運搬する際には、専用の骨壺や輸送用の箱が必要になる場合もあり、これらの費用も考慮に入れる必要があります。また、檀家を辞める場合の離檀料が発生することもあります。
全体として、ご遺骨のみを移す一般的な改葬の場合、費用は数十万円から、新しいお墓を建てる場合は100万円を超えることもあります。正確な金額については、現在のお墓の管理者や改葬先の霊園、石材店にお見積もりを依頼されることをお勧めします。
新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町での改葬手続き
新宮市、那智勝浦町、太地町、そして熊野川を挟んで隣接する三重県紀宝町は、いずれも熊野地域に属し、生活圏・文化圏が一体となっています。この地域で改葬を行う際の具体的な手続き方法と地域特性についてご説明します。
新宮市での改葬許可申請
新宮市で改葬許可申請を行う場合、現在お墓がある自治体が新宮市であれば、新宮市役所の担当窓口(市民課または環境課)で手続きを行います。申請書は窓口で入手するか、市のホームページからダウンロードできる場合もあります。申請時には埋蔵証明書、受入証明書、改葬許可申請書の3点が必要です。
那智勝浦町・太地町での手続き
那智勝浦町では住民課環境係、太地町でも同様に役場の担当窓口で改葬許可申請を受け付けています。手続きの流れは基本的に新宮市と同じですが、自治体によって申請書の様式や必要書類が若干異なる場合がありますので、事前に電話でご確認されると安心です。
三重県紀宝町でのケース
紀宝町は三重県南牟婁郡に属しますが、熊野川を挟んで新宮市と隣接し、生活圏は新宮市と一体です。改葬の慣習や手続きの流れも、和歌山県側の自治体と共通しています。紀宝町役場の担当窓口で同様の手続きを行うことができます。
地域特有の配慮事項
当地域では菩提寺をお持ちのご家庭が多く、改葬を検討される際には、まず菩提寺のご住職にご相談されることをお勧めします。先祖代々お世話になってきたお寺との関係を大切にし、改葬の理由や経緯を丁寧にお伝えすることで、円満に手続きを進めることができます。また、地域のつながりが深い土地柄ですので、ご親族や地区の区長・組長への早めのご連絡も望ましいでしょう。
私たち中本葬祭は、新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町を中心に、年間300件以上の葬儀をお手伝いしてまいりました。改葬に関するご相談も地域の実情に即してサポートさせていただいております。手続きの進め方や必要書類、地域の慣習など、ご不明な点がございましたらお気軽にお声がけください。
よくある質問
改葬許可証は誰が申請できますか?
先祖代々のお墓や霊園を管理している祭祀相続人が申請できます。墓地使用者と申請者が異なる場合は、使用者からの承諾書や委任状が必要になることがあります。詳しくは各市町村の窓口にご確認ください。
改葬許可証に有効期限はありますか?
改葬許可証自体に有効期限はありません。ただし、改葬先の墓地の使用契約に期限が設けられている場合がありますので、改葬先の情報を確認しておくことが大切です。
改葬にはどのくらいの期間がかかりますか?
改葬の手続き全体には、目安として3ヶ月~4ヶ月程度は要するとされています。書類の準備や墓石の撤去工事、新しい納骨先の準備など、複数の工程があるため、余裕を持ったスケジュールで進められることをお勧めします。
改葬の費用はどのくらいかかりますか?
改葬にかかる費用は、お墓の規模や改葬先の種類によって大きく異なります。一般的には、行政手続きで数百円~1,000円程度、墓石の撤去で30~50万円程度、新しい納骨先で30万円~100万円程度が目安です。正確な金額はお見積もりを取られることをお勧めします。
改葬するときにお布施は必要ですか?
現在のお墓から魂を抜く閉眼供養と、新しいお墓に魂を入れる開眼供養をご住職に執り行っていただく際には、お布施が必要です。1万円程度が目安とされていますが、お寺やご宗派によって異なりますので、事前にご確認ください。檀家を辞める場合の離檀料についても、菩提寺とよくご相談されることが大切です。
まとめ
改葬は、ご先祖様のご遺骨を新しいお墓へ移す大切な手続きです。法律で定められた手順に従い、改葬許可証を取得する必要があります。必要書類は「埋蔵証明書」「受入証明書」「改葬許可申請書」の3点で、現在のお墓がある自治体に申請します。手続き全体には3~4ヶ月程度を見込んでおくと安心です。
新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町では、各自治体の窓口で改葬許可申請を受け付けています。当地域では菩提寺をお持ちのご家庭が多いため、まずはご住職やご親族とよくご相談されることをお勧めします。改葬にかかる費用は、お墓の規模や改葬先によって異なりますが、全体で数十万円から100万円以上になることもあります。
改葬は人生で何度も経験することではありませんので、分からないことや不安なことがあるのは当然です。地域の慣習や菩提寺との関係、行政手続きなど、一つひとつ丁寧に確認しながら進めていくことが大切です。
公的機関の確認先
制度、期限、必要書類は変更される場合があります。手続き前に、次の公的機関の最新情報をご確認ください。確認日 2026年7月22日。
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この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
