突然のご不幸で葬儀の準備を進める際、「ご数珠の色にはどんな意味があるのだろう」「故人を偲ぶのに相応しい色はあるのだろうか」と迷われる方は少なくありません。また、終活の一環としてご自身のご数珠を新調される際も、色や素材の選び方に不安を感じる方が多くいらっしゃいます。
ご数珠(念珠)は仏様やご先祖様に手を合わせる際に用いる大切な法具であり、その色や素材には仏教の経典に基づく深い意味が込められています。新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町で年間300件以上のご葬儀を施行する中本葬祭が、宗派やご性別による違いを丁寧にご案内いたします。
ご数珠の色が持つ意味と由来
ご数珠の玉の色は、素材によって決まります。色の違いは材質の違いであり、木と石では色が異なり、石が変われば色も変わります。単なる見た目の美しさだけでなく、仏教の教えに基づいた意味を持つものもあります。
仏教経典に記された七宝の色
大乗仏教の経典「無量寿経」には、金・銀・瑠璃・玻璃・硨磲(しゃこ)・珊瑚・瑪瑙という7色の数珠色が最も良いとされています。瑠璃はラピスラズリ、玻璃は無色透明の水晶、硨磲は白いシャコガイの殻を指します。「法華経」にも金・銀・瑪瑙・瑠璃・硨磲・真珠・玫瑰(まいかい)という7色が記されており、玫瑰は赤色の宝玉のことと言われています。
これらの「七宝」とされる素材は、悪いものから身を守る効果があるとされ、古来より尊ばれてきました。ただし現代では、より身近な素材のご数珠も広く用いられています。
代表的な素材と色の意味
葬儀で一般的に使用されるのは、木製の数珠と石製の数珠です。木製数珠は落ち着いた雰囲気があり手に馴染みやすく、黒檀や紫檀、鉄刀木などが使用されています。一方、石製数珠は水晶や瑪瑙、翡翠など様々な種類の天然石が使用されており、石の種類によって意味合いが異なります。
水晶は心身を活性化する、虎目石は金運や仕事運を高める、真珠は女性の美の象徴で魔よけのお守りになるなど、それぞれの石に意味や効能があるとされています。ご数珠を選ぶ際、こうした意味を参考にされる方も多くいらっしゃいます。
宗派別・男女別のご数珠の色の選び方
ご数珠には各宗派ごとに定められた「本式数珠(正式数珠)」と、どの宗派でも使える「略式数珠」があります。色や素材の選び方も、これらの種類や性別によって変わってきます。
本式数珠と略式数珠の違い
正式数珠は各宗派ごとに決められた正式な数珠で、いずれの宗派も108個の珠からなり、二連になっていることが特徴です。浄土真宗では親玉が二つある独特の構成、日蓮宗では片側に3本、もう片側に2本の計5本の房がつくなど、宗派ごとに形状が大きく異なります。
一方、略式数珠は一重で、どの宗派でも使用できます。数珠の色には明確な決まりがなく、特に略式数珠の場合は自分の好みにあわせた色やデザインのものを選んで大丈夫です。ご自身の宗派が分からない場合や、初めてご数珠を購入される場合は、略式数珠が安心です。
男性向けの色・素材
男性が数珠を選ぶ際には、黒や茶色の数珠がよいとされています。これは、黒や茶色には魔除けの意味が込められているためです。男性用は黒や茶色など渋い色が多く、珠や房の色は自由ですが、華美な色は避けた方が無難です。
素材としては黒檀や紫檀といった木材、オニキスや虎目石などの天然石が好まれます。玉の大きさも女性用より大きめで、略式数珠は男性用が10~12mm、女性用が6~8mmです。
女性向けの色・素材
女性の場合、華やかなピンクや紫といった数珠を持つのも良く、喪服やバッグの黒にまぎれると意外と目立ちません。水晶、ローズクォーツ、ラベンダーアメジスト、真珠、翡翠など、淡い色合いの天然石が多く用いられます。
女性の場合、年齢を問わずピンクや紫など淡い色も選択されることがありますが、派手すぎないトーンが安心です。ご年配の方には紫や灰桜色、若い方には白やピンク系が好まれる傾向にありますが、厳密な決まりはございません。
房の色の意味
房の色は宗派によって異なります。例えば、浄土真宗では白色の房、浄土宗では紫色や白色の房、日蓮宗では白色や黄色の房が用いられます。本式数珠の場合、宗派による決まりがありますが、略式数珠では比較的自由に選べます。
男性の場合、数珠の色は黒や濃い茶色が多く、房の組み合わせとしては茶色や黒が良いとされています。女性の場合、紫や白の房が一般的で、特に白の房はどのような数珠玉にも合わせられます。
地域による違いと新宮市・那智勝浦町・太地町・紀宝町での慣習
ご数珠の色や房の色には、地域による慣習の違いも存在します。全国的には自由に選べるとされていますが、一部の地域では独自のルールがあることも知っておきましょう。
全国の地域差
名古屋や金沢の近辺では、葬儀では白房の数珠を、法事では紫色など色房の数珠を使用する方が多いです。また、京都のある一定の地域では、魔除けの効果を高めるために赤い数珠が使われています。一方で、そのほかの地域では赤色の数珠は血の色を想像させるため避けられる傾向にあります。
東北や北陸地方では、無色透明の数珠玉が多く使用される傾向があり、お通夜や葬儀のときには白の房、法事のときには色がついた房を使います。このように、宗派だけでなく地域ごとに色の意味合いが異なる場合があります。
紀南・東紀州地域(新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町)での実情
私たち中本葬祭がある新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町の熊野地域では、ご数珠の色や素材について特別な地域慣習は見られません。全国的な傾向と同様に、男性は黒や茶色、女性は白・紫・ピンク系など、ご自身のお好みで選ばれる方がほとんどです。
ただし当地域では菩提寺をお持ちのご家庭が多いため、本式数珠を選ばれる際にはご自身の宗派を確認されることをお勧めいたします。浄土真宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗など、宗派によって本式数珠の形や房の色が大きく異なるためです。ご不明な場合は、菩提寺のご住職や私ども葬儀社にお気軽にご相談ください。
また、紀宝町は三重県に属しますが、熊野川を挟んで新宮市と隣接し、生活圏・文化圏は新宮市と一体です。葬儀の慣習やご数珠の扱いも共通しており、同じ熊野地域として自然にお考えいただいて差し支えございません。
よくある質問
ご数珠の色に厳密な決まりはありますか?
数珠の色には明確な決まりがありません。特に略式数珠の場合は、自分の好みにあわせた色やデザインのものを選んで大丈夫です。ただし地域や宗派によって慣習的なルールが存在する場合もあるため、心配な場合はご家族やお寺、葬儀社にご確認ください。
若い女性がピンクのご数珠を持っても失礼にあたりませんか?
失礼にはあたりません。喪服やバッグの黒にまぎれると意外と目立たず、派手な印象にはなりません。ただし、あまりに鮮やかな色は避け、落ち着いたトーンのものを選ばれると安心です。灰桜色など中間色は年齢を問わずお使いいただけます。
宗派が分からない場合、どんなご数珠を選べばよいですか?
宗派が分からない場合は、略式数珠(片手数珠)をお選びください。略式数珠はどの宗派でも使用できます。色は男性なら黒や茶色、女性なら水晶など無色透明のものや白房のものを選ばれると、どのような場面でも安心してお使いいただけます。
親から譲り受けたご数珠を使っても大丈夫ですか?
ご数珠は持ち主の念が宿るとされ、基本的には一人一つ用意するものとされています。ただし、親御様から大切に受け継がれたご数珠であれば、形見としてお持ちになることに問題はございません。ご不安な場合は菩提寺のご住職にご相談されるとよいでしょう。
房の色はご数珠の玉の色と合わせるべきですか?
房の色にも特に決まりはありませんが、珠の色と反対色だと華美な印象を与え、悪目立ちしてしまいます。珠と同系色か、白が無難です。迷われる場合は、白色の房を選ばれると、どのような玉の色にも調和します。
まとめ
ご数珠の色や素材には、仏教の経典に由来する深い意味があります。黒は喪の色として故人への哀悼を表し、七宝とされる宝石には魔除けや福を呼ぶ力があるとされてきました。ただし現代では、色や素材に厳密な決まりはなく、ご自身の好みやお気持ちに合ったものを選んでいただくことができます。
宗派によって本式数珠の形や房の色が異なるため、ご自身の宗派が分かる場合は本式数珠を、分からない場合や初めての方は略式数珠を選ばれると安心です。男性は黒や茶色など落ち着いた色、女性は紫・ピンク・白など柔らかい色が好まれますが、いずれも派手すぎないトーンを心がけることが大切です。
ご数珠は故人を偲び、仏様と心を通わせるための大切な法具です。色や素材の意味を知ることで、より深い気持ちで手を合わせることができるでしょう。
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新宮市・那智勝浦町・太地町・紀宝町の葬儀相談
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この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
