突然の訃報を受けて、喪服は用意できたものの「パンプスはどれを履けばいいのだろう」と迷われる方は少なくありません。葬儀では喪服だけでなく、靴にも細かなマナーがあり、足元は思いのほか周囲から見られています。黒いパンプスならどれでもよい、というわけではなく、素材やヒールの高さ、つま先の形まで、ふさわしいものとそうでないものがあります。
私たち中本葬祭は、創業以来、新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町を中心に、年間300件以上のご葬儀を施行してまいりました。ご遺族からは「足元のことまで教えてもらえて安心した」というお声をいただくこともあります。この記事では、葬儀にふさわしい女性用パンプスの選び方を、基本マナーから実際によくある誤解、地域特性まで、丁寧に解説いたします。
葬儀にふさわしいパンプスの基本マナー
色は無地の黒一色
葬儀で履く靴の色は、男性・女性関係なく、無地の黒色です。黒に近いグレーや紺、茶色なども、葬儀の場ではふさわしくありません。黒であっても、かかと部分に色の切り替えがあるようなデザイン性の高いものは避けましょう。
ヒールの高さは3〜5cm
葬儀で履くなら、高さ3〜5cmで太めのヒールがついたパンプスがベストで、3〜5cmは、高すぎず低すぎず、歩きやすいヒールの高さです。また、太めのヒールは安定感があって足が疲れにくく、コツコツとした足音が響くのを防げます。
高すぎるヒールは華美な印象を与え、逆にヒールがまったくないぺたんこ靴はカジュアルに見えるため、基本的には避けるのが無難です。ピンヒールやスタックヒールなどの細いヒールは、足音が響きやすいので葬儀にふさわしくありません。
つま先の形はラウンドトゥかスクエアトゥ
最適なのは、つま先が丸みをおびているラウンドトゥか、角ばったデザインのスクエアトゥです。どちらもつま先にゆとりがあり、立ったり歩いたりする動作の多い葬儀でも、足が疲れにくいというメリットもあります。
つま先がとがったポインテッドトゥは、カジュアルで攻撃的な印象があるため、お葬式にはふさわしくないとされています。またつま先の見えるオープントゥも、お葬式ではマナー違反です。肌の露出が多くなるため、弔事の場には不向きです。
素材は光沢のないものを
お葬式で履く靴にふさわしい素材は、布や合成皮革、天然皮革(本革)です。本来は布製の靴がベストとされていましたが、最近は革製のパンプスを履く方が主流となっています。合成皮革、天然皮革の靴を選ぶときは、光沢やツヤのないものを選んでください。
エナメル素材やサテン、ベロアなど、光沢の強い素材は華やかな印象を与えるため避けましょう。また、ワニ革やヘビ革、スエードなど、動物由来であることが明確にわかる素材も、殺生を連想させるため葬儀にはふさわしくないとされています。
装飾のないシンプルなデザイン
リボンやビジュー、スパンコールなどの装飾がついたパンプスは避けます。金具については、金具が目立つデザインもNGですが、ベルトやストラップについている程度であれば問題ありません。ストラップ付きパンプスは歩きやすく安定感があるため、ヒールに慣れていない方にはおすすめです。ただし、金具は目立たない小さなもので、銀色のシンプルなものを選びましょう。
よくある誤解と実際の対応
「黒いパンプスなら何でもいい」は誤り
黒色であっても、素材やデザインによってはふさわしくない場合があります。たとえば、黒のエナメルパンプスは光沢が強く目立つため不適切です。また、厚底パンプスやウェッジソールはカジュアルな印象が強いため避けるべきです。
中敷きにも配慮を
お葬式や会食の会場によっては、靴を脱ぐ場面があるかもしれません。靴の中敷きまで、忘れずに気を配りましょう。中敷きも靴と同様、目立つ色柄は避けるべきです。黒に近い色で無地の中敷きを選ぶようにしてください。
ヒールの音への対策
式場の床が大理石やフローリングの場合、ヒールの音が響きやすくなります。対策としては、太めのヒールを選ぶこと、足に合ったジャストサイズのパンプスを履くこと、靴底に防音シートを貼ることなどが有効です。
高齢の方や体調面での配慮
お葬式ではヒールのあるパンプスを履くのがマナーですが、体調や年齢に応じて靴を選んで問題ありません。妊娠中の女性や足の不自由な方、年配の方は、無理にヒールを履くと足を傷めたり、転倒したりする危険性があります。足に負担がかからず、安定感のある歩きやすい靴を選びましょう。
外反母趾の方や、足腰に不安のある方は、ヒールのないパンプスでも構いません。黒色でシンプルなデザインであれば、安全性を優先した靴選びが推奨されます。事情を知れば、マナー違反と捉える方はいません。
ストッキングは黒の薄手を
お葬式では、必ず黒色・無地のストッキングを履きましょう。ストッキングの厚さは、肌が少し透ける程度が望ましいです。30デニールのストッキングが理想的で、タイツや肌色のストッキングはマナー違反とされています。
ただし、冬場の寒い時期や防寒が必要な場合は、60〜80デニール程度のストッキングやタイツも許容される傾向にあります。ラメ入りや柄物、網タイツは避けてください。
新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町での地域特性
火葬場への移動と砂利道への配慮
当地域では、新宮市斎場などを使用する際に、駐車場から式場、さらに火葬場への移動が発生します。また、お墓参りを伴う場合、舗装されていない砂利道を歩くこともあります。ピンヒールのような細いヒールは、砂利に刺さって歩きにくく、転倒のリスクもあるため注意が必要です。安定感のある太めのヒールを選ぶことで、移動時の安全性が高まります。
温暖な気候と靴の選び方
紀南地域は温暖な気候のため、冬場でも極端に厚手のタイツが必要になるケースは少ないかもしれません。ただし、式場内は空調が効いていることが多いため、薄手のストッキングでも十分対応できます。逆に夏場は通気性の良い靴を選ぶと、長時間の参列でも足元が蒸れにくく快適です。
菩提寺への訪問や自宅での葬儀
当地域では菩提寺をお持ちのご家庭が多く、ご住職が式場にお越しになるだけでなく、ご遺族が菩提寺を訪れる場合もあります。また、地域によっては自宅や集会所でご葬儀を執り行うこともあり、その際は靴を脱ぐ機会が多くなります。脱ぎ履きしやすいパンプスを選んでおくと、スムーズに対応できます。
地域のつながりと身だしなみへの配慮
新宮市・那智勝浦町・太地町・三重県紀宝町は、地域のつながりが深い土地柄です。ご近所の方々が参列されることも多く、身だしなみには特に気を配りたいところです。足元まできちんと整えることで、故人への敬意とご遺族への配慮が伝わります。
よくある質問
Q1. ストラップ付きのパンプスは葬儀で履いても大丈夫ですか?
はい、問題ありません。金具が小さく目立たないもので、全体的にシンプなデザインであれば許容されます。ストラップ付きは歩きやすく安定感があるため、ヒールに慣れていない方にはおすすめです。
Q2. ヒールのないパンプスでも失礼になりませんか?
高齢の方、妊娠中の方、足に障害やケガがある方などは、ヒールのない靴でも全く問題ありません。黒色でシンプルなデザインであれば、体調や安全を優先することが大切です。
Q3. ローファーでもいいですか?
ローファーはカジュアルな靴に分類されるため、大人の場合は避けるのが無難です。学生の方が制服に合わせる場合は問題ありません。
Q4. 急な訃報で葬儀用のパンプスがない場合、どこで購入できますか?
紳士服やスーツの専門店であれば、葬儀にふさわしい素材やデザインの靴を取り扱っています。量販店でもシンプルな黒いパンプスは入手できますが、素材や装飾に注意が必要です。
Q5. 通夜と告別式で靴を変える必要はありますか?
通夜も告別式も、同じ黒のパンプスで問題ありません。通夜の場合は急な参列となるため、やや柔軟に対応されることもありますが、告別式は正装が基本です。どちらにも対応できる一足を用意しておくと安心です。
まとめ
葬儀にふさわしい女性用パンプスは、黒無地で光沢のない素材、ヒールの高さ3〜5cm、つま先がラウンドトゥかスクエアトゥ、装飾のないシンプルなデザインが基本です。ピンヒールやオープントゥ、エナメル素材、動物柄の革などは避けましょう。
ただし、高齢の方や妊娠中の方、足に不安がある方は、安全性を優先した靴選びが推奨されます。地域によっては砂利道を歩く場面もあるため、安定感のある太めのヒールを選ぶことも大切です。
足元は思いのほか周囲から見られており、きちんと整えることで故人への敬意とご遺族への配慮が伝わります。普段から葬儀用のパンプスを一足用意しておくと、いざという時に慌てずに済みます。
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新宮市・那智勝浦町・太地町・紀宝町の葬儀相談
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この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
中本葬祭(1968年創業)専務。和歌山県新宮市・那智勝浦町・太地町、三重県紀宝町を中心に、家族葬・一日葬・一般葬・火葬式など年間300件以上の葬儀に携わっています。
