実家の土地を相続したものの、遠方に住んでいて雑草や枝の状態をすぐ確認できない方もいらっしゃいます。空き地の管理は、問題が起きてから草刈りを手配するのではなく、土地の所在地、管理を担う方、点検の時期、近隣から連絡を受ける窓口を先に決めることが大切です。
この記事は全国向けの一般的な確認順です。空き地の条例、自治体からの案内、草刈り支援の有無は地域によって異なります。個別の土地では、所在地の自治体や法律の専門家の案内を優先してください。
最初に決めるのは「誰が、どの土地を、いつ確認するか」
相続後の空き地管理では、登記や税の手続きと、現地を管理する実務を分けて考えます。名義の確認だけで終わらせず、次の順番で管理の空白を作らないようにします。
- 土地を特定する
固定資産税の通知書、登記事項証明書、地図、権利関係の書類から、所在地と地番を確認します。複数の土地がある場合は一筆ずつ整理します。 - 現地の状態を確認する
雑草の高さ、道路や隣地へ出ている枝、境界付近の状況、自治体や近隣から届いた連絡を確認します。写真を残す場合は、撮影日が分かる形で記録します。 - 管理の連絡担当を決める
相続人が複数いる場合は、自治体、近隣、草刈り業者から連絡を受ける方を決め、判断が必要なときの共有方法も確認します。 - 次回の点検と作業を決める
一度の草刈りで終わりにせず、土地の状態に合わせて次回の確認時期と、家族で行うか業者へ依頼するかを決めます。
不動産の全体が分からないときや相続関係が確定していないときは、自己判断で土地を処分したり契約したりせず、法務局、自治体、弁護士、司法書士などへ確認してください。
新宮市の周知では土地所有者による適正管理を案内
新宮市は2026年9月7日、「あき地の雑草でお困りの方へ」を公開しました。市には、管理されていない隣接地から雑草や枝が入り込むという相談が寄せられており、土地の管理は土地所有者の責任であると案内しています。
同ページは、2020年3月の土地基本法改正により、土地所有者の責務が規定されたことも示しています。土地所有者には、土地の状況に応じた適正な管理が求められます。
ただし、新宮市の案内を全国の自治体へそのまま当てはめることはできません。自治体が行う連絡や支援、相談窓口、地域の条例は異なります。土地がある市区町村の公式情報を確認してください。
雑草は「作業する人」と「連絡を受ける人」を決める
現地へ行ける方が限られる場合は、家族が毎回急いで移動する方法だけでなく、造園業者、草刈り業者、地域のシルバー人材センターなどへ依頼できるか確認します。新宮市も、自分で草刈りができない事情がある場合の選択肢として、造園業者やシルバー人材センターへの依頼、防草シートの施工を挙げています。
依頼前には、作業範囲、境界、刈った草の処分、作業後の写真報告、次回点検の要否を確認します。境界が分からないまま作業範囲を広げず、必要に応じて土地家屋調査士などの専門家へ相談してください。
自治体から適正管理のお願いが届いたときは、放置せず、現状と対応予定を担当窓口へ伝えます。所有者の所在が分からない場合など、自治体の働きかけだけでは改善まで時間がかかることもあるため、近隣側の立場で困っているときも自治体や専門家へ相談します。
越境した枝は原則として木の所有者へ切除を求める
隣地の木の枝が自分の土地へ越境していても、最初から自由に切ってよいわけではありません。改正後の民法233条は、竹木の所有者に枝を切り取らせるという原則を維持したうえで、一定の場合に越境された土地の所有者が自ら切り取れると定めています。
自ら切り取れるのは、次の3つのうち、いずれかに当たる場合です。
| 条件 | 確認する内容 | 進める前の注意 |
|---|---|---|
| 催告後も切除されない | 竹木の所有者へ切除を求め、相当の期間内に対応がない | 催告の方法と待つ期間を記録する |
| 所有者・所在が分からない | 竹木の所有者を知ることができない、または所在を知ることができない | 登記事項の確認や相続人調査が必要になる場合がある |
| 急迫の事情がある | 枝の状態から、対応を待てない急迫の事情がある | 自己判断で範囲を広げず、状況を記録する |
上の3条件は、どれかに当たれば無制限に切ってよいという意味ではありません。必要以上に切ることや、隣地へ入ること、費用負担をめぐって争いになる可能性があります。実際の枝を切る前に、弁護士や司法書士などへ手順を確認すると安心です。
建物がある土地、山林、空き地は分けて管理する
「実家の土地」とひとまとめにしていても、建物が残る敷地、離れた空き地、山林では確認先が異なります。建物がある場合は、鍵、雨漏り、火災保険、電気や水道なども別に確認します。家を相続したら火災保険も確認では、解約や口座停止を先にせず契約内容を確かめる順序を説明しています。
山林が地域森林計画の対象森林である場合は、相続登記とは別に森林の土地の所有者届出が必要になることがあります。山林相続後の森林所有者届出も併せて確認してください。相続手続き全体は、相続手続きの流れと期限と死亡後の手続き一覧で整理しています。
よくある質問
名義変更が終わるまで空き地を管理しなくてもよいですか
登記手続きと現地管理は分けて考えます。相続関係を確認しながら、誰が現地を確認し、自治体や近隣からの連絡を受けるかを決めてください。相続関係が確定していない場合は、管理や対応を誰が担えるか専門家へ確認します。
自治体へ連絡すれば雑草を刈ってもらえますか
自治体の対応は地域によって異なります。新宮市は、土地の管理権限は土地所有者にあり、市が強制的に剪定や伐採を行うことはできないと案内しています。土地の所在地の自治体へ、利用できる相談や制度を確認してください。
隣地から出た枝はすぐ切ってよいですか
原則は竹木の所有者へ切除を求めます。自ら切れるのは、催告後も相当期間内に切除されない、所有者や所在が分からない、急迫の事情がある、という民法233条のいずれかに当たる場合です。実際に切る前に専門家へ手順を確認してください。
遠方で定期的に現地へ行けない場合はどうしますか
管理の連絡担当を決め、草刈り業者やシルバー人材センターなどへ依頼できるか確認します。作業範囲、写真報告、処分方法、次回点検を依頼前に決めておくと状況を共有しやすくなります。
管理担当と次回点検まで決めておく
相続した空き地は、所在地と境界を確認し、現地の状態を記録したうえで、管理の連絡担当と次回点検を決めます。雑草や越境枝の問題は、土地の所在地、所有関係、枝の状態で対応が変わるため、自治体や専門家の案内を確認して進めてください。
実家や土地の情報を葬儀後にどう整理するか迷う方は、中本葬祭の事前相談・お問い合わせをご利用ください。中本葬祭で法律判断や登記を代行できるとは限りませんが、葬儀後に何を確認するかを整理し、必要に応じて適切な相談先を確認するお手伝いをします。
出典
- 新宮市「あき地の雑草でお困りの方へ」
https://www.city.shingu.lg.jp/info/3063 - 横浜市「越境した枝の切取りルールの改正について」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/akiya/kiritori.html - e-Gov法令検索「民法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - e-Gov法令検索「土地基本法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000084
出典確認日:2026年9月10日
この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
