亡くなった方の名義のままになっている水道は、市役所や町役場に死亡届を出しても、それだけで名義や引き落とし口座が切り替わるとは限りません。これからもその家で水を使うのか、空き家にして止めるのかで、水道の窓口へ届け出る内容が変わります。
葬儀のあとの手続きのご相談を受けていると、水道は市町ごとに窓口も届出の名前も違うため、ご家族が迷いやすいところだと感じます。このページでは、続ける場合と止める場合の分かれ目、連絡の前にそろえておくもの、家のある市町ごとの窓口と電話番号(新宮市、那智勝浦町、太地町、紀宝町)をまとめました。
使い続けるなら名義変更、使わないなら使用中止
最初に決めるのは、これからその家で誰が、いつまで水を使うかです。家の状況ごとに、届け出ることを並べました。
| 家の状況 | 届け出ること | あわせて確かめること |
|---|---|---|
| 同居していた家族が住み続ける | 使用者の名義変更 | 請求書の送り先、支払方法 |
| 片付けや清掃のあいだだけ使う | 作業が終わってからの使用中止 | 止める日、最後の料金の精算 |
| 当面だれも住まず、水も使わない | 使用中止 | 最後の請求書の送り先 |
| 家を相続する・売る | 使用者の変更に加え、所有者の変更が要るか | 引き渡しの日、給水装置の届出 |
水道の「使用者」と「所有者」、料金を払う人は、同じ人とは限りません。紀宝町も那智勝浦町も、使用者だけでなく所有者が変わるときにも届出が要るとしています。ほかの市町の手順を当てはめず、家のある市町の窓口で確かめてください。
連絡の前にそろえておくもの
- これから水を使う人と、使う期間を決める
住み続ける人がいるか、片付けにいつまで通うかを家族で話しておきます。 - 請求書か「使用水量のお知らせ」を探す
住所、いまの名義、お客さま番号などの番号が書かれています。見つからなければ、住所と亡くなった方の氏名を伝えて、窓口に何が要るかを尋ねます。 - 名義・請求書の送り先・支払方法を分けて考える
亡くなった方の口座から引き落としていたなら、新しい支払方法をどうするかも決めておきます。 - 相続や売却の予定を伝えられるようにしておく
使用者の名義とは別に、所有者の変更が要るかを窓口で尋ねるためです。
鍵を預かる人、片付けをする人、家を相続する人が別々なら、水を止める日を先に共有しておくと、連絡が重なったり、片付けの途中で水が出なくなったりせずにすみます。
名義変更と使用中止の違い
同じ家で水を使い続けるとき
配偶者や同居していた家族が住み続けるなら、水は止めずに使用者の名義を変えます。請求書の送り先、電話番号、口座振替か納付書かといった支払方法も、このときに一緒に変えます。
亡くなった方の口座は、金融機関で相続の手続きが始まると引き落としができなくなることがあります。未払いが残らないよう、支払方法をいつから切り替えるかを水道の窓口で確かめてください。亡くなった人のクレジットカードや死亡後の携帯電話の解約も、同じ口座から払っていないか一緒に見ておくと漏れが減ります。
だれも住まず、水も使わないとき
空き家にして水を使わないなら、使用中止を届け出ます。紀宝町は、使用中止の届出がないと、実際に水を使っていなくても基本料金がかかると案内しています。
一方で、止めたあとに片付けや修繕、売却前の内覧で水が要ることもあります。再開するときの手続きと日数を聞いてから、止める日を決めてください。太地町は、水道メーターから蛇口までの工事や修理を町の指定業者に頼むよう案内しています。那智勝浦町も、配管やメーターの位置を変えるときは町指定の給水装置工事事業者を通じて届け出るよう求めています。長く空ける家の元栓や設備の扱いは、窓口か指定の業者に相談できます。
家を相続する・売るとき
水を使う人の名義変更と、水道の設備(給水装置)の所有者の変更は、別の届出になることがあります。土地や建物の相続登記を済ませても、水道の所有者まで自動で変わるわけではありません。
相続する人がまだ決まっていない、共有で相続する、売却を考えている、といったときは、誰の名義で何を届け出るかを窓口に尋ねます。実家の土地や建物の全体がつかめていなければ、亡くなった方名義の不動産を調べる方法から始めてください。
4市町の水道の窓口
窓口と電話番号を一つの表にしました。番号は各市町の公式ページに出ているものです。
| 市町 | 窓口 | 電話 |
|---|---|---|
| 新宮市 | 水道事業所 業務課 | 0735-22-5794 |
| 新宮市(飲料水供給施設を使う地域) | 農林水産課 農林係 | 0735-23-3351 |
| 那智勝浦町 | 水道事業所 | 0735-52-9495 |
| 太地町 | 役場 産業建設課 上下水道係 | 0735-59-2335(役場) |
| 紀宝町 | 役場 環境衛生課(水道) | 0735-33-0343 |
新宮市の水道手続き
新宮市の「手続きチェックシート(おくやみ編)」には、水道の使用をやめるときは「使用中止届」、使用者の名義を変えるときは「名義変更届」と書かれていて、どちらも水道事業所業務課へ問い合わせるようになっています。市の「ご家族がお亡くなりになったときの手続きについて」では、名義変更は死亡届のあとすみやかに行うこと、口座振替なら口座の変更も要ることが挙げられ、その手続きは金融機関や水道事業所のほか、市役所本庁や各支所でもできるとされています。
市の水道ではなく飲料水供給施設を使っている地域は、窓口が農林水産課農林係に変わります。請求書や施設の名前で、どちらの窓口かを確かめてください。
新宮市は、水道局を名乗って「水道料金の未払い」を知らせる詐欺メールにも注意を呼びかけています。市は水道料金の請求をメールで知らせることはないとしています。メールのリンクは開かず、気になるときは水道事業所へ電話で尋ねてください。
那智勝浦町の水道手続き
那智勝浦町の水道事業所は、次のようなときに連絡するよう案内しています。
- 水道の使用者か所有者が変わるとき
- 新しく入居する、引っ越すとき
- ある程度の期間、水道の使用を中止するとき
- 使い道が変わるとき(業務用から家庭用など)
- 水道を廃止するとき
相続したあと同じ家で使い続けるときも、空き家にするときも、この「使用者か所有者が変わるとき」「使用を中止するとき」に当たります。この案内には必要な書類までは書かれていないので、電話で尋ねてから窓口へ行くと二度手間になりません。
太地町の水道手続き
太地町の公式サイトには、亡くなったあとの水道の名義変更だけを扱った案内ページはありません。役場の機構の説明に、産業建設課の上下水道係が水道の開栓・閉栓の申込みや水道料金の徴収を受け持つと書かれています。
そのため太地町では、使い続けるか止めるか、請求書の送り先、口座振替、所有者の変更まで、上下水道係に直接尋ねるのがいちばん確かです。必要な書類をほかの市町の例から推し量って用意しないでください。
紀宝町の水道手続き
紀宝町では、水道の使用開始と中止を役場の環境衛生課が受け付けています。窓口と電話は平日の午前8時30分から午後5時15分までで、開始や中止の3〜4日前までに連絡するよう求められています。開始と中止は、町のページにある申込みフォームからオンラインでも申し込めます。
開始・中止のほかにも、納付書の送り先が変わるとき、水道の所有者や使用者(請求者)が変わるとき、用途が変わるとき、支払方法が変わるときは届出が要ります。住み続けるなら使用者と支払方法、空き家にするなら中止日、家を相続するなら所有者の変更を、まとめて伝えると一度で済みます。
最後の料金と支払方法の確認
名義変更や中止の連絡をするときは、料金のことも一緒に聞いておきます。
- 最後の検針日と、料金の精算のしかた
- すでに請求されていて、まだ払っていない料金
- 最後の請求書の送り先
- 亡くなった方の口座から引き落とせなくなったときの払い方
- 新しい名義で口座振替を始められる時期
- 下水道使用料や浄化槽にかかわる別の手続き
未払いの水道料金は、亡くなった方の債務として相続にかかわることがあります。相続放棄を考えている方や、誰が払うか決まっていない方は、自分たちだけで財産を処分したり支払ったりする前に、水道の窓口に事情を伝え、弁護士や司法書士にも相談してください。
よくある質問
死亡届を出せば水道の名義も自動で変わりますか?
自動で変わるとは限りません。使用者の名義、請求書の送り先、支払方法、所有者について、家のある市町の水道の窓口へ届け出てください。
遺品整理のために水を使う場合もすぐ止めた方がよいですか?
片付けや清掃、トイレで水が要るなら、作業が終わる日と再開の手続きを確かめてから止める日を決めます。届出がないと使っていなくても基本料金がかかる町もあるので、日程が決まったら窓口に相談してください。
故人の口座から水道料金が引き落とされています。どうしますか?
相続の手続きが始まると、その口座から引き落とせなくなることがあります。水道の窓口で請求済みの料金とこれからの払い方を確かめ、新しい口座振替か納付書に切り替えます。
家を相続したら水道の所有者も自動で変わりますか?
相続登記と水道の所有者の変更は別です。使用者の名義だけでなく、所有者の変更が要るかも水道の窓口で尋ねてください。
止める日と払う人を決めてから電話を
亡くなった方名義の水道は、住み続けるなら名義と支払方法を変え、だれも使わないなら中止を届け出ます。片付けに水が要る期間を考えて、止める日を急ぎすぎないようにしてください。
水道のほかにも、葬儀のあとには期限のある手続きが続きます。全体の順番は死亡後の手続きチェックリストにまとめました。実家が空き家になりそうだと分かっているなら、水道や電気の請求書がどこに届いているかを、いまのうちに聞いておくだけでも、あとの手間がかなり減ります。そうした備えの話も、中本葬祭の事前相談でお聞きしています。
出典
- 新宮市「新宮市手続きチェックシート(おくやみ編)」
- 新宮市「ご家族がお亡くなりになったときの手続きについて」
- 新宮市「水道局を名乗った詐欺メールにご注意ください!」
- 那智勝浦町「水道事業所からのお願い」
- 太地町「役場の機構」
- 紀宝町「水道の使用開始・中止の手続き」
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中本葬祭は、新宮市、那智勝浦町、太地町、紀宝町で6つの葬儀会場を運営しています。葬儀のあとの届出や連絡先で迷ったときも、電話か公式LINEでお尋ねください。お急ぎの場合は、24時間つながるフリーダイヤルへご連絡ください。
この記事の監修
中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター
平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。
