中本葬祭ブログ

亡くなった方の準確定申告は必要?4か月の期限と相続人が確認すること

準確定申告に向けて税務書類を木製テーブルで整理する準備のイメージ画像

ご家族が亡くなった後、役所や年金の手続きと並んで確認したいのが所得税の「準確定申告」です。「年金だけでも必要なのか」「通常の確定申告と期限が違うのか」「相続人が何人もいる場合は誰が出すのか」と迷う方も少なくありません。

準確定申告は、亡くなった方に確定申告が必要だった場合に、相続人が代わって行う手続きです。すべての方に必要とは限りませんが、期限は原則4か月と短いため、必要性の判定と資料集めを早めに始めることが大切です。

結論|全員に必要ではありませんが、4か月以内に要否を確認します

国税庁によると、年の途中で亡くなった方に確定申告が必要な場合、相続人は、1月1日から死亡した日までの所得と税額を計算し、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税を行います。これが準確定申告です。

まず確認するのは、次の三点です。

  1. 亡くなった方に申告が必要な所得があったか
  2. 給与や年金などから納め過ぎた税金があり、還付申告を検討するか
  3. 相続人が複数いる場合、誰が資料を集め、申告内容を共有するか

年金を受け取っていたという理由だけで、必ず準確定申告が必要になるわけではありません。一方、申告義務がなくても、源泉徴収された税金や各種控除の状況により還付を受けられる場合があります。故人の所得の種類と金額を確認し、判断に迷うときは税務署または税理士へ相談してください。

準確定申告が必要か確認するために集める資料

故人がどのような収入を得ていたか分からないと、申告の要否を判断できません。郵便物、保管ファイル、通帳の入金記録などから、次の資料を探します。

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 公的年金等の源泉徴収票
  • 個人事業や不動産賃貸の帳簿、請求書、領収書
  • 株式や投資信託などの取引報告書
  • 生命保険の満期金など所得に関係する通知
  • 国民健康保険料、介護保険料、生命保険料などの控除資料
  • 医療費の領収書、医療費通知
  • 前年までの確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書の控え

勤務先、年金の支払者、金融機関などから必要書類が届いていない場合は、相続人として再発行を依頼できるか確認します。何が所得に当たるか、どの控除を使えるかは個別状況で異なるため、資料を捨てずにまとめておきます。

死亡後の手続き全体を同時に整理したい方は、死亡後の手続き一覧もご確認ください。

対象期間と控除|死亡日までの所得と支払いを整理します

準確定申告で計算する対象期間は、その年の1月1日から死亡した日までです。通常の確定申告のように12月31日までではありません。

所得控除にも死亡日を基準にする項目があります。国税庁は、医療費控除の対象になるのは死亡日までに故人が支払った医療費であり、死亡後に相続人が支払った医療費を故人の準確定申告へ含めることはできないと案内しています。

社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除なども、原則として死亡日までに故人が支払った額を確認します。配偶者控除や扶養控除などの適用判定は死亡日の現況により行い、控除額を月割りにはしません。

医療機関や介護施設から死亡後に請求書が届くこともあります。支払日と支払った人を記録し、どの申告や相続手続きに関係するかを税務署または税理士へ確認してください。

相続人が複数いる場合は申告内容を共有します

相続人が2人以上いる場合、国税庁は各相続人が連署して準確定申告書を提出する方法を案内しています。他の相続人の氏名を付記し、各人が別々に提出することもできますが、その場合は、提出した相続人が他の相続人へ申告内容を通知する必要があります。

準確定申告書には、相続人の氏名、住所、故人との続柄などを記載する付表を添えます。還付金を相続人の代表者がまとめて受け取る場合は、付表とは別に委任状が必要です。

次の項目を相続人間で決めておくと進めやすくなります。

  • 資料を集める人
  • 税務署や税理士へ問い合わせる人
  • 申告内容と納税額を共有する方法
  • 納税資金をどのように準備するか
  • 還付金を誰が受け取るか

申告書の提出前に、所得、控除、納税額、還付額を相続人全員で確認します。相続放棄を検討している場合や、故人の債務が分からない場合は、個別に支払いを進める前に弁護士などの専門家へ相談してください。

提出先|故人の死亡時の納税地を管轄する税務署です

準確定申告書は、相続人の住所地ではなく、故人が亡くなった当時の納税地を管轄する税務署へ提出します。

国税庁の当日案内では、新宮税務署の管轄は新宮市と東牟婁郡です。そのため、新宮市、那智勝浦町、太地町に納税地があった方は、新宮税務署が確認先になります。

紀宝町は三重県南牟婁郡にあり、国税庁の三重県案内では尾鷲税務署の管轄です。ただし、申告書等の郵送先は税務署所在地と異なる業務センターになる場合があります。持参、郵送、e-Taxのいずれを利用する場合も、提出前に国税庁の最新案内で宛先と受付方法を確認してください。

税務署へ相談に行く場合は、事前予約が必要なことがあります。故人の住所、死亡日、所得の種類、相続人の人数、手元にある資料を整理してから問い合わせると確認しやすくなります。

e-Taxで提出する場合の注意点

準確定申告はe-Taxにも対応しています。ただし、国税庁は、通常の「確定申告書等作成コーナー」から準確定申告書を作成することはできず、e-Taxソフト等を利用するよう案内しています。

e-Taxで提出する場合は、相続人が1人でも準確定申告書の付表が必要です。相続人が2人以上いるときは、各相続人が申告内容を確認して署名した確認書をPDFで添付します。代表者が他の相続人の還付金を受け取る場合は、委任状も必要です。

電子申告の操作、必要な電子証明書、添付形式は更新されることがあります。申告時点の国税庁案内を確認し、難しい場合は書面提出または税理士への依頼を検討してください。

葬儀費用と準確定申告を混同しないようにします

葬儀費用は、故人の所得税を計算する準確定申告で一律に差し引くものではありません。一定の葬儀費用は、相続税を計算する際に債務控除の対象となることがありますが、準確定申告とは別の手続きです。

葬儀社の領収書、火葬や会場に関する領収書、支払日、支払者が分かる資料は、相続税の申告要否を確認できるまで保管してください。対象になる費用と対象外の費用は個別に判断されるため、葬儀費用と相続税の控除も参考にし、税務署または税理士へ確認してください。

相続全体の期限は、相続手続きの流れと期限で整理しています。準確定申告の4か月と相続税申告の期限を混同せず、別々に管理することが大切です。

よくある質問

年金を受け取っていた人は全員、準確定申告が必要ですか?

全員に必要とは限りません。年金以外の所得、源泉徴収、控除、還付の可能性を含めて判断します。公的年金等の源泉徴収票などを用意し、税務署または税理士へ確認してください。

4か月は死亡日から数えますか?

国税庁の案内は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。一般にはご家族が死亡の事実を知った日を起点に考えますが、個別事情がある場合は税務署へ確認してください。

死亡後に家族が支払った医療費も控除できますか?

故人の準確定申告で医療費控除の対象になるのは、死亡日までに故人が支払った医療費です。死亡後に相続人が支払った医療費は、故人の準確定申告には含められません。

相続人が1人でも付表は必要ですか?

必要です。準確定申告書には相続人の氏名、住所、続柄などを記載する付表を添付します。e-Taxの場合も、相続人が1人でも付表を提出します。

まとめ

準確定申告は、亡くなった方に確定申告が必要だった場合、相続人が1月1日から死亡日までの所得と税額を計算し、原則4か月以内に申告・納税する手続きです。全員に必要とは限らないため、源泉徴収票、年金、事業、不動産、金融取引、控除資料を集め、早めに要否を確認してください。

提出先は故人の死亡時の納税地を管轄する税務署です。新宮市・東牟婁郡は新宮税務署、紀宝町を含む南牟婁郡は尾鷲税務署が管轄します。税額計算や相続放棄など個別判断が必要な場合は、税務署、税理士、弁護士へ相談してください。

中本葬祭では、葬儀後に必要となる書類や手続きの整理についてもご案内しています。何から確認すればよいか迷う場合は、資料請求・お問い合わせからご相談ください。

出典

確認日:2026年8月23日

  • 国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」
  • https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
  • 国税庁「所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について」
  • https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/jyunkaku/
  • 大阪国税局「税務署所在地・案内(和歌山県)」
  • https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/location/wakayama.htm
  • 名古屋国税局「税務署所在地・案内(三重県)」
  • https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/location/mie.htm

この記事の監修

中本 吉保(なかもと よしやす)/専務取締役・厚生労働省認定 1級葬祭ディレクター

平成12年(2000年)に中本葬祭を創業。以来25年以上・7,500件以上のご葬儀に携わり、「どうすれば故人様が喜んでくださるか」を考え続けています。

監修者のプロフィールを見る →